12.0.4 クロソイド曲線 −曲率が連続変化する緩和曲線−  改訂2008−10−20

 

・直線から円弧,または円弧から直線につなげるとき,曲率が急に変化してステアリング付きのAGVは追従できない.

・このとき円弧の代わりに曲率が連続的に変わるクロソイド曲線を使うと追従が可能となる.

・但し,使うに当たって条件がある.

(1)      AGVの最小旋回半径が決まっている場合は,円弧の半径をとするとではクロソイド曲線を生成できない.

(2)      一定速度で走行し,ステアリング速度(操舵輪の向きを変える速さ)ωに限りがある場合は,短い区間の円弧を置き換えたクロソイドでは曲率の変化速度が速く,AGVは追従できない.すなわち,ステアリング付きAGV1FDW1FS, 1RDW1FS)は生成経路を正しく辿るためには走行速度を変える必要がある.2DW1Cはその制限がない.

・すなわち,置き換える円弧の半径は最小旋回半径より少なくとも2倍以上必要であり,また円弧長

 短くてはいけない.

・曲率を変化させるクロソイドには色々あるが,ここでは三角クロソイドと台形クロソイドを考える.

 

0.4.1 三角クロソイド曲線

 

・円弧部分をクロソイド曲線に置き換える.12.7は円弧長よりいくらか長い.

・始点を原点からX正方向に出発し,終点,向きに到る円弧とする.

・円弧の半径をとすると

                        (4-1)

 が成り立つ.

・この円弧を中央での曲率を持ち直線的に変化する曲率のクロソイドに置き換える.

             ()   (4-2)

      ()   (4-3)

 は既知,は未知である.

)でなければならないから,(4-2)第2式より

    または                   (4-4)

・また中間点の位置

      (4-5)

                     (4-6)

は直線CL上になければならないから

                     (4-7)

 が成り立つ.

・方向角の条件(5-4)式と位置の条件(17)式からが決まる.

・位置の条件式から

      (4-8)

(5-5)式と(5-8)式より

                                            (4-9)

                                               (4-10)

・三角クロソイド曲線は,弧が長くなるにつれて最大曲率が大きく,かつ円弧から遠い経路となり,実用的に利用できない.

は弧長が短いときは90°で180°で程度である.

 

0.4.2 台形クロソイド曲線

 

 


・円弧が長すぎると,クロソイドの曲率が大きくなってしまう.

・曲率の最大値をとし,台形曲率変化するクロソイド曲線を考える.

・これはAGVが旋回する最大曲率(最小旋回半径)が決まっていて,クロソイド曲線がその曲率以下に押さえるときに利用する.

・このクロソイド曲線を円弧の代替とする.すなわち,曲率(半径)の円弧が旋回したとすると,そのときの位置は

    ,                (4-21)

である.

・原点からで方向角となるクロソイド曲線を生成する.

・これは中間点で対称であるから,半分まで考えればよい.また,方向角は半分であり,

                      (4-22)

 が成り立つ.

 

・台形クロソイド曲線生成の考え方は以下の通りである.(対称なので前半だけを考える)

(1)      最大曲率をとする台形曲率変化である.より少し大きい値とする.立ち上がり部分で

    :              (4-23)

    :                        (4-24)

    一定曲率の部分で

    ,    (4-25)

    :                      (4-26)

(2)      曲率の変化率は最大走行速度と最大ステアリング速度によって決める.

間のステアリング角φは

                   (4-27)

微分して

                        (4-28)

ステアリング速度・走行駆動輪速度を最大値とすると

             (4-29)

(4-24)式を使って,立ち上がり部分の長さと最大曲率

   (4-30)

とすればステアリングが曲率変化に追随することができる.

これは,最大曲率を大きくすれば走行距離も大きくしなければならないことを意味している.

(3) 元の円弧が短いとが短く曲率変化が急激で,どのようにしてもAGVは追従できない.その場合は,走行速度を小さくすることで対応する.

 

・以上を考慮して,始点から旋回し,に到る台形クロソイド曲線を生成する.

・クロソイドの最大曲率より少し大きな値とするが,その割合については(4-29)式を考慮する.

・円弧代替の台形クロソイド曲線の)を求める.対称形であるから前半だけを考えればよい.

    :               (4-31)

    のとき                      (4-32)

    ,    (4-33)

    のとき     (4-34)

    但し  :これは曲率の円弧がだけ円周上を動いたときの方向角を表す.

・各区間の位置

       (4-35)

             (4-36)

    但し   , ,        (4-37)

    のとき , ,    (4-38)

   

            

           (4-39)

           

        

                         (4-40)

   のとき 

             (4-41)

            

                       (4-42)

・中間点で方向角が半分であるから

                                        (4-43)

                            (4-44)

・書き直して

   

   

      (4-45)

を与えるとが決まるが,ここでをステアリング最大角速度の式(4-30)の等式で与える.

    (4-46)

となるを数値計算によって求める.

・この式の解が存在しないときは(三角クロソイド)とする.元の円弧が小さいときこの状態が生じるが,このときは曲率の変化の速さにステアリングが追従できない.

(4-30)を等式にして

                                                      (4-47)

・円弧のが与えられたとして,(4-46)式を満足する)を求め,(4-43)式から()を求める.