2 線形2自由度振動系の自由振動( 02freevibration2 )
・ 2自由度の自由振動は,2個の固有振動数があり,それぞれに対応する固有モードがあること,および任意の初期条件から始まる振動は2個のモードの適当な比率を掛けた和であることが見られる.
・ 運動方程式は
・ ,
と置くと,上式は
,
すなわち
ただし ,
・ の全てが0でない解を持つためには,αが
を満足しなければならない.この式の解は,2つのマスの振動をと置いて
@ ,
,
A ,
,
,
,
B ,
,
,
,
,
,
の3通りがある.
・ 全てのλ=0のときは
となる.この式を振動数方程式という.この式の根が系の固有振動数である.
・ 1,2次の固有振動数に対応する振動振幅は,各マスの振幅比として得られる.例えば(i=1,2)として
は
に対する比として
,
により与えられる.この振幅比をi次の振動モードと言う.
の基準振動は
,
・ 2つの振動モードには
,
の性質がある.これを両モードは直交すると言う.この性質を利用して任意の初期条件から始まる2つのマスの自由振動は
のようにモードの線形和で表すことができる.
● シミュレーションにおける描画画面
・ 画面左側 : 振動の時間経過(描画画面上でキーsを押し続けると時間的変化が表示される)
右側 : 弦でつながったマスの振動モード
● シミュレータの使い方
・ スタート → (1)自由度入力 → (2)系の定数入力 → (3)描画する振動波形の数入力
→ (4)初期条件設定 → 描画
・ キー操作(描画画面上でキーを押し,変更は文字画面上で)
s :振動継続(sを押し続けないと何も変化しない)
m :系の定数変更
j :系を変えず,初期条件変更
Y, y :振動振幅の拡大縮小
T, t :時間軸の拡大縮小
● 特徴
(1)
ダンパーがないとき,第1振動モード(固有振動数)はマス2つが同位相で振動し,第2振動モード(固有振動数
)は逆位相で振動する.前者では中央のばね(
)は単に
を繋げているだけでばねとして伸び縮みが小さく,後者では伸び縮みが大きく
がばねとして働いていることがわかる.これが
の理由である.この事実はマスばねが増えても言えることである.
(2)
ダンパーがあるとき,として第2モードは当然ながら早く減衰し,低い振動数の第1モードだけが後まで残る.この事実は自由度が増えても言える.無限自由度(弾性振動)の1つの振動例として,ピアノの弦は打弦によって多数のモードが生じ,独特の音色を出すがしばらく後には第1モードの単一正弦振動だけが残り,音としては音叉からでる音と変わらない.