4.2. リンク機構のシミュレーション 2006.4.11
高野 政晴
● シミュレータは2種類ある.
(1) C++,OpenGLによるもの.4-2-1linkage(C++)
(2) MS-DOSによるもの.4-2-1linkage(MSC)
● 平面リンク機構の運動解析をし,その運動と指定した点の軌跡を描画する.
以下は(1)のシミュレータの説明である.
● C++, OpenGLによるプログラムである.
● ワークスペース名 : 4-2-1Linkage
この中にlinkage.c, graph2d.h, 及び下記のデータファイルが含まれる)
● 用意したリンク機構は以下の通りである.(括弧内はデータファイル名)
1. 4節リンク機構
1−1.4回転関節機構(a01, a02, a03)
1−2.3回転関節・1直動関節機構(a11, a12, a13, a14, as11, as12, as13, as14)
1−3.2回転関節・2直動関節(ss11, ss12, ss13, ss14, ss23)
2. 特殊運動機構
2−1.真正直線運動機構
Paucellier-Lipkin(pc1, pc2, pc3, pc4), Hessenberg(hs), Perrolatz(pr), Crawford(cr), Hart(ht), Silverster-Kempe(sk1, sk2)
2−2.楕円描画器(ellips1, ellips2, ellips3, ellips4, ellips5)
2−3.放物線描画器(parab1, parab2)
2−4.双曲線描画器(hyper1, hyper2, hyper3, hyper4, hyper5)
2−5.2次曲線描画器(quad1, quad2, quad3)
2−6.早送り機構(haya)
3. 6節リンク機構(a60, a61, a62)
● 使い方
・linkage.c, graph2d.h, 機構データファイルを同じワークスペースに入れてcompileする.
・start → @文字画面上でデータファイル選択 → A描画画面上で’s’キーを押す
→ B機構の運動と指定した点の軌跡描画 → ESCキーで終了
・Bの描画画面上でキー操作によって下記のように画面表示が変わり,あるいは機構を変えることができる.
s : 運動継続
w, W: 画面の縮小拡大
x, X : 画面を左右に移動
y, Y : 画面を上下に移動
l : 別の既往データファイルに変更
p : 機構のパラメータ変更
n : 機構の形状変更
・lキー:別の機構への変更はlキー後,@に戻るので文字画面においてファイル名を入力する.
・pキー:機構のパラメータ変更はp後,文字画面に戻って
(1) 位置固定の関節番号位置(当分は変更しないとする)
(2) 固定スライダ(直動関節)の不変の傾き(当分は変更しない)
(3) リンク長
(4) リンク間不変相対角
(5) 駆動関節
の変更ができる.
註:・パラメータ変更では,機構の構造は変更できない.
・変わり得るリンク間の相対角(スライダの動く距離)は全て駆動源となり得る.
・変更しない項目は0を入力する.
・解のない駆動初期値を入力しないよう注意.
・運動が行き詰まると自動的に引き返す.この場合機構の形態が変わり得るものは形態を変えて引き返す.従って行きとは異なる軌跡となる.
・ただし特殊運動機構では形態を変えると望みの軌跡とならないので形態は変えない.
・nキー:リンク機構の形状が想定の違うとき,nキー後文字画面に戻ると,変更すべき項目が表示されるので,指定に従って入力する.どれを変えれば想定の形状になるかは推測でわかるが,わからない場合は項目を選択して試してみるとよい.
● 自分でファイルにない機構を作ってシミュレーションしたいとき
・下記の順序で機構データを作成し,適当なファイル名を付ける.
・そのファイルを「linkage」(でなくても好きな名前でよい)のワークスペースに入れる.
・使い方は前述の通り.
・機構データの作成(データ番号・説明は不要)
例1.スライダクランク機構
(1) 関節数 4
(2) 関節種類 1, R
2, R
3, D
4, R
0
(3) 軌跡を描く関節点 2
(4) 固定関節とその位置 1, 0, 0
0
(5) 上記の固定関節とつながる他の固定関節とその位置
4, 200, 0
0
(6) 固定スライダの傾き 0
(7) 不変リンク長 1, 2, 50
2, 3, 100
0
(8) リンク(スライダ)間の不変相対角 0
(9) スライダが走るリンク 3, 1, 4
0
(10) 駆動は回転か直動か A
(11) 駆動相対角(距離)とその初期値(deg) 4,1,2, -120
註:・駆動初期値(11)は機構を構成可能にする(図が描ける)値でなければならない.
・各項の最後の0はその項目のデータが終わったことを示す.
・画面の大きさは400×400である.
・図のJ4は本来は不要であるが,便宜上リンクの両端に必ず回転関節を付ける.
・駆動の種別(10)には3種あり,Aはリンク間の相対角駆動,Bはリンクの絶対角駆動,Lはスライダの直動を示す.この例では,(10)でB, (11)で1, 2, 60としてもよい.
例2.オルダム継手
(1) 関節数 5
(2) 関節種類 1, R
] 2, R
3, R
4, R
5, S
0
(3) 軌跡を描く関節点 5
(4) 固定関節とその位置 1, 0, 0
0
(5) 上記固定関節とつながる他の固定関節の位置
4, 1, 150, 0
0
(6) 固定スライダの傾き 0
(7) 不変リンク長 1, 2, 200
3, 4, 200
0
(8) 不変リンク間角度 1, 5, 4, 90
0
(9) スライダが走るリンク 5, 1, 2
5, 4, 3
0
(10) 駆動は回転か直動か L
(11) 駆動相対距離 1, 5, 120
● 解析手法について
・計算は平面三角法に依拠している.(精密工学講座「機械運動学」牧野洋・高野政晴著,コロナ社,pp20-24,pp60-67参照)
・三角法だけでは解けない機構も存在する.その場合は四角法(4種)を利用する(詳細説明は省略).
・機構データが与えられると自動的に計算順序を探索する.
・その順序に従って全ての位置角度を計算する.
・故に任意の平面リンク機構の解析が可能である.