4.3.1     インボリュート曲線創成ファイル名01involutegeneration

          基礎円から糸を巻き戻すとき糸の先端が描く軌跡がインボリュート曲線である.その創成運動を見る.

 

[計算]

(1)インボリュート曲線の創成

          糸の巻き戻した回転角をθとすると,糸の先端Pの位置は,円の中心を原点とする座標系で表して

   , 

 

   

          インボリュート曲線を歯形とする歯車には以下のいろいろな特徴がある.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1)糸の先端Pはインボリュート曲線と直交する.その点におけるインボリュートの曲率中心はBである.

(2)基礎円を等速回転させ,糸を真っ直ぐに等速に巻き戻すと,インボリュート曲線も等速に移動する。

(3)2つの基礎円に糸を斜に巻き付けると両円は等速回転し,糸の1点Pは等速に移動する.その点が創成する2つのインボリュート曲線はその点で接し等速で移動する.

(4)糸を取り除いてインボリュート曲線を歯形と考えれば,同様に両基礎円は等速回転伝達をすることができる.

(5)このインボリュート曲線を歯形とすれば等速回転伝達する歯車となる.

 

・標準歯車は図のような寸法を持っている.

m[mm]はモジュールで,歯の大きさを表す.

標準歯車では歯のたけは歯先のたけ(addendum)が,歯元のたけ(dedendum),ピッチは,ピッチ円上で歯厚・歯溝の幅ともである.

・ 歯元のA点(インボリュート基点)より下の曲線は切り下げ曲線で,ラック型工具によって切り取られる部分であり,かみ合いには寄与しない.この切り下げは歯数が少ないと(の場合はz21.5A点を越えてインボリュート部まで切り取る.

 

         シミュレーションの使い方

・モジュールm=1[mm]と正規化している.

          スタート→(1)シミュレーション項目選択→(2)アニメーション→(1)へまたは終了

          (2)の選択項目

            1:基礎円を固定し,糸を巻き戻すときのinvolute曲線創成

      2:基礎円を回転し糸を一定方向へ巻き戻すinvolute曲線創成

      3:基礎円を直線上で滑りなく転がす運動

      4:1対のinvolute歯車が1歯でかみ合うアニメーション

      5:歯数10枚の1対のinvolute歯車のかみ合いアニメーション(斜がけの糸描画)

      6:歯数10枚の1対のinvolute歯車のかみ合いアニメーション(斜がけの糸描画なし)

  ・ 描画諸元の変更

     w, W:図の縮小・拡大

     d, D :回転の順逆変更

 

● 特徴

・ (1)で創成されるinvolute曲線が(2)で糸の先端が作るinvolute曲線が糸と直交し等速度で移動することが分かる.

・ (2)の性質から,(4)のアニメーションにおいて1対のinvolute曲線は糸上で接し,糸を取り除いてinvolute曲線が等速に回転伝達できること,nvoluteのかみ合いは糸を斜がけのベルト(糸)伝動と同じであることが分かる.

・ (3)の基礎円の転がり運動から,involute曲線は固定した矢印の先で接触していることが分かる.Involuteに誤差があれば矢の先端は揺れるので,これは歯形誤差測定に利用される.

・ (5)のアニメーションから,歯のたけについて,1歯の伝達が終わらない内に次の歯がかみ合う程度に大きい必要があること,しかしinvolute基点(干渉点)を越えてかみ合うと基礎円に歯が食い込むので食い込まない程度におおきくてはいけないことが分かる.