ロボット用語                2005.1.1

 

・ この用語集は2005.1現在未完成である.

     意味が自明の用語は説明を省略した.

     各分野の専門用語はロボットに関連するもの,ロボットの研究論文に見られたもののみを採用している.

     用語にはまだ定着していないもの,著者が勝手に名付けたものもある.

     分類は「ロボット工学ハンドブック」に従って以下のようにまとめた.

[一般]:ロボットの種類,ロボットシステム,生産,保全,その他  1p

   [数学]:線形数学                        3p

   [運動・力学]:質点の運動,剛体の運動,ロボット動作,力学    7p

   [駆動]:アクチュエータ,動力源                 16p

   [メカ]:ロボットの型,機構,機械要素,ハンド          18p

   [制御]:制御理論,制御要素                   21p

   [移動]:移動ロボット,移動ロボットの運動学・力学        29p

   [センサ]:画像を除くセンサ,センサによる計測法         32p

   [画像]:視覚センサ,画像処理,画像認識             35p

   [音]:音声,音声認識,音声合成                 40p

   [情報]:計算機のハード・ソフト,計算技術,データ処理,人工知能 43p

   [応用]:ロボットの利用                                          47p

 

 

 

                [一 般]

 

robot[一般]:ロボット:生体(人間・動物)に似た運動機能を持つもの,あるいは運動機能プラス知的機能を備えているものと2様に考えられているが,明確な定義はない.外界センサを持たない産業用ロボットは後者の定義によればロボットではなくなる.

automaton[一般]:オートマトン:@自動機械の総称.A計算機構の数学的なモデル.

android[一般]:アンデロイド:人間とよく似たロボット

humanoid robot[一般]:ヒューマノイドロボット,人間型ロボット:人間と同じようにアーム・脚を2本ずつ持ち,また何らかの感覚を持って人間と同じような動作をするロボット.

manipulator[一般]:マニピュレータ:人間のアームに似た機能を持つもの.ロボットアームと同じ.

remote manipulator[一般]:遠隔操作マニピュレータ:離れた位置から人間が指令を与えて操作するマニピュレータ

master-slave manipulator[一般]:マスタスレーブマニピュレータ:マニピュレータ(スレーブ)と形寸法が同じもの(マスタ)を用意し,マスタを直接人間が手で動かすことによって指令信号を作りそれをスレーブに送って制御する遠隔操作マニピュレータ.マスタとスレーブの形状寸法が異なるもの(異構造マスタスレーブマニピュレータ)もある.

industrial robot[一般]:産業用ロボット:産業に応用されるロボットの総称であるが,ロボットアームと概念は同じと見てよい.

manual manipulator[一般]:マニュアルマニピュレータ:人間が直接操作するマニピュレータ(JISB0134-2002)

operating robot[一般]:操縦ロボット:人間が直接操作するロボット(JISB0134-1110)

teleoperating robot[一般]:遠隔操縦ロボット:離れた位置から人間が指令を与えて操作するロボット.

intelligent robot[一般]:知能ロボット:人工知能によって行動決定できるロボット(JISB0134-1150).別の表現をすれば外界の状況によって行動を自律的に変えることができる能力を持つロボットのこと.

playback robot[一般]:プレイバックロボット:人間が予め動作を教えて記憶させ,その通りに動くことができるロボット(JISB0134-1130)

man-machine interface[一般]:マン・マシンインタフェイス:人間と機械とが情報や動作などをやりとりできるための装置の総称.

system configuration of robot[一般]:ロボットのシステム構成

manipulator「一般]:マニピュレータ:ロボットアームと同じ.ものを動かし,扱うという意味合いで使うことが多い(JISB0134-2001)

mobile robot, locomotion mechanism, mobile mechanism[移動]:移動ロボット,移動機構

virtual manufacturing[生産]:仮想生産:工場の生産シミュレーションのこと.工場のモデルを持ち工程やスケジュールを具体的に決める.

CAD(computer-aided design)[生産]:CAD,コンピュータ援用設計:電算機支援の設計作業.

CAE(computer-aided engineering)[生産]:CAE:電算機が広い解析手段を持ち,設計開発に必要な基礎的な解析や製品機能のシミュレーションも行うシステム.

CAM(computer-aided manufacturing)[生産]:CAM,コンピュータ援用生産:電算機による製造工程の管理システム.

CALS(continuous acquisition and lifecycle support)[生産]:CALS:電算機による受注・設計・生産を一貫して管理する統合情報システム.資材後方補給支援(computer-aided logistic support),資材供給調達支援(computer-aided acquisition and logistic support),光速電子商取引(commerce at light speed)と語が変遷している.

FMS(flexible manufacturing system)[生産]:FMS,フレキシブル生産システム:作るべき機種の変更に対応できる生産システム.他品種中量生産に向いている.

FAS(flexible assembly system[生産]:フレキシブル組み立てシステム:組み立てるべき機種の変更に対応できる自動組み立てシステム.ロボットによる自動組み立ては普及しているが,FASはまだ難しい.

CIM(computer integrated manufacturing)[生産]:CIM,コンピュータ統合生産:製品生産の入口から出口まで需要・コスト・リードタイムなどを考慮して電算機によって開発・販売を含む生産のプロセスを管理するシステム.CADCAECAMを統合化したものと定義されたこともあったが,概念は変わりつつあり,この語も変わる可能性がある.

IMS(intelligent manufacturing system)[生産]:IMS,知的生産システムCIMの先にある生産システムと位置づけられているが,概念ははっきりしない.

reliability[一般]:信頼性,信頼度:機能を果たす確率.故障しない確率.

maintenance[一般]:保全,メインテナンス:故障の修復,正常機能を維持する作業.

maintainability[一般]:保全性,保全度:保全作業の遂行確率.

failure[一般]:故障

fault[一般]:欠陥

failure rate[一般]:故障率

time to failure[一般]:故障寿命

mean time to failure[一般]:MTTF,平均故障寿命

mean time between failure[一般]:MTBF,平均故障間隔

mean time to repair[一般]:MTTR,平均修復時間

failure intensity[一般]:故障強度

reliability block diagram:信頼性ブロック図

fault tree analysis[一般]:故障木解析

failure mode[一般]:故障モード

failure mode and effect analysis:故障モード影響解析

・信頼性設計

fault detection:[一般]:故障検出

fault avoidance[一般]:故障排除

fail safe[一般]:フェールセーフ

fault tolerance[一般]:フォールトトレランス

fault diagnosis[一般]:故障診断

groupware[一般]:グループウエア:地理的に離れた人同士が共同作業できるように総合的に支援するソフト・ハードウエアシステム.マルチメディアの技術が中心となっている.

 

healthcare technology[保全]:ヘルスケア:(ロボットの)保全技術.

fault tree[保全]:故障木:故障の現象を見て装置の上層から下層へ原因を探るその探索木のこと.

 

 

 

                [数学]

 

matrix[数学]:行列:行(横の並び)と列(縦の並び)からなる要素の2次元の配列.要素aijがn行m列をなす行列(縦にn個,横にm個)をn×m行列といい,A(n×m),あるいはA={aij}と書く.線形演算によく使われる.(cf. 小−,単位−,転置-,正方-,対角-,対称 -,交代-(歪み対称-),逆-,直交行列)

column[数学]:列:行列の縦方向の並び.

row[数学]:行:行列の横方向の並び.

determinant[数学]:行列式:正方行列について定義される量で,正方行列Aの行列式をdet(A), と書く.

rank[数学]:ランク,階数:n×mの行列があり,その中の(k+1)次以上の小行列式Ak+1をどのようにとってもdet(Ak+1)=0で,det(Ak)=0とならないk次の小行列が存在するとき,この行列のランクはkであると言い,rank(A)=kと書く.

diagonal matrix[数学]:対角行列:正方行列の対角成分以外が全て0である行列これをと表すことがある.

transposed matrix[数学]:転置行列:行列について行と列を入れ替えたを転置行列と言い,またはと表示する.

inverse matrix[数学]:逆行列:n×nの正方行列Aの逆行列とはn次の単位行列)となるようなA−1のこと.A−1は割算と同じ意味を持つ.すなわちy=Axの式でx,yがスカラ量ならx=y/Aであるが,ベクトル量ならx=A−1yである.

pseudo inverse matrix[数学]:疑似逆行列:n×m行列Aについて,AA+A=A, A+AA+=A を成り立たせるA+(m×n行列)を疑似逆行列という.A+は正方行列の逆行列に相当する性質を持つ.y=Ax の方程式でxの方がyより次数が多いとき(mnx=A+y+(I-A+A)z と式の解を表すことができる.ただしzm次の任意ベクトルであり,解は第2項で表された量だけの任意性を持つ.

Moore-Penrose inverse matrix[数学]:ムーア・ペンローズ逆行列:疑似逆行列と同じ.

convex hull[数学]:凸多角形の辺

vector[数学]:ベクトル:複数の要素の集まりで,a=(a1,a2,..an)の横ベクトル,あるいはa=(a1,a2,..an)Tの縦ベクトルのように表す.物理量としてはベクトル演算(加減算,内積外積など)できるものをベクトルとして表すと便利である.例えば位置や力など.3軸回りの回転角はベクトル量ではない.角速度はベクトル量である.

normal vector[数学]:法線ベクトル:法線方向を表す単位ベクトル.

tangential vector[数学]:接線ベクトル:曲線の接線方向を表す単位ベクトル.

binormal vector[数学]:従法線,陪法線:空間曲線のねじれ率の方向で,曲線の接線・法線(主法線)と直角な方向の単位ベクトル.

tangential coordinate of surface[数学]:曲面の接座標:曲面の接平面に置いた接点を原点とする座標系.

Gaussian curvature[数学]:ガウス曲率,全曲率:曲面の主曲率の和.

pseudo vector[数学]:疑似ベクトル:姿勢を表す3つの量(α,β,γ)のように成分を1固まりとして扱うが,ベクトルのように足したり引いたりはできないもの.

Euclid space[数学]:ユークリッド空間:通常の2次元,3次元空間のこと.

vector space[数学]:ベクトル空間:ベクトル演算(ベクトルの加算,距離の定義)が成り立つn次元空間.普通の2次元,3次元空間はベクトル空間である.

Banach space[数学]:バナッハ空間:ベクトル空間のより一般化した空間で,ベクトルをx, yとすると,(1)(2)(3)(4)距離は完備空間である(2点間の距離を任意に小さくとれる;点は連続である)の条件を満足する空間.

scalar[数学]:スカラ:1要素の量で表されるもの.例えばエネルギー,2点間の距離など.

norm[数学]:ノルム:@ベクトル空間においてベクトルをとすると,‖x=(Σxir)1/r をノルムという.r=2のノルムをユークリッドノルムといい,直交座標系のベクトル空間ではベクトルの長さを意味する.A行列において(ΣΣxij2)1/2を行列のノルムという.これは,正方行列の固有値をとしたとき(Σσi2)1/2 に等しい.

eigenvalue[数学]:固有値:正方行列Aについてdet(λI-A)=0の根λを固有値という.n次正方行列の固有値は通常n個ある.

trace[数学]:トレース:正方行列の対角成分の和のことでと表す.これは固有値の和に等しい.

eigenvector[数学]:固有ベクトル:n次の正方行列Ak番目の固有値をλkとすると,(λkI-A)uk=0を満たすukを固有ベクトルという.ukn個の成分を持つが,そのうちの1つは任意であり,他の成分はその任意成分に対する比として与えられる.

Jacobian[数学]:ヤコビアン,ヤコビ:あるベクトル量が別のベクトル量の関数であるとき,m×n行列)をヤコビアンという.ただしJij成分はである.これはxの変化分に対してyが何倍になって変化するかを表す.

Jordan form, Jordan matrix[数学]:ジョルダン形式,ジョルダン行列:主対角要素が同じ値aを持ち,そのすぐ上の要素が全て1,それ以外の要素は0である正方行列.

diagonalization[数学]:対角変換,対角化,対角変換行列:正方行列AT-1AT=diag(λ1,λ2,...,λn)=Bのように対角成分以外を0とする行列に変換することを対角変換といい,その行列Tを対角変換行列という.λk(k=1,2,..,  n)Aの固有値である.Tは固有ベクトルukを使ってT=(u1,u2,...,un)と表すことができる.固有ベクトルは互いに直交する(線形独立である).y=Axのとき,v=Ty, z=Tx と変換すればv=Bz,すなわち各成分毎にvk=λkzk(k=1,2,..., n)と独立なn個の式に表すことができる.

orthogonal transformation[数学]:直交変換,主軸変換:z=xxを変換して‖x2=xxTが不変であるような変換.平面座標を回転する変換は直交変換である.

orthogonal matrix[数学]:直交行列:正方行列ATA(単位行列)となるもの.絶対値が1である固有ベクトルからなる対角変換行列は直交行列である.

regular[数学]:正則:特別なことがない通常の状態であること.例えばy=AxAは正方行列)の式よりx=A-1yと解ければAは正則,解けなければ非正則(特異)である.

orthogonal[数学]:直交:2つの次元が等しいベクトルa,bがその内積(a,b)=0の関係にあるとき,a,bは直交するという.

quadratic form[数学]:2次形式:ベクトルx=(x1,x2,...,xn)について,E=xTAx=ΣΣaijxixjを2次形式という.力学系の持つエネルギーは2次形式表現の1つである.

positive definite[数学]:正定:2次形式表現のEがあり,x=0でない如何なるxに対してもE>0となるとき,Eは正定であるという.また常にE<0を負定,E0を半正定,E0を半負定,Eが正にも負にもなり得るとき非定という.の2次元のときはであり,あるEに対して,正定ならば点(x,y)は楕円を描き,半正定ならば放物線,非定ならば双曲線を描く.

positive semidefinite[数学]:半正定,準正定,非負定:正定参照.

negative definite[数学]:負定:正定参照.

negative semidefinite[数学]:半負定,準負定,非正定:正定参照.

indefinite[数学]:非定:正定参照.

linearly independent[数学]:線形独立:2つの次元の同じベクトルが直交することと同じ意味である.

singular value[数学]:特異値:特異値分解参照.

singular value decomposition[数学]:特異値分解:n×m行列AについてATA=Bm×m行列)とし,Bの固有値をσ12,σ22,・・・・,σm2とする.このとき2つの直交行列U(n×n)V(m×m)によってA=UCV, C=diag(σ1,σ2,...,σm)と書ける.(BのランクがrのときはC=diag(σ1,σ2,...,σr,0,0,..0)である)Cを求めることを特異値分解,σk(k=1,2,...n)を特異値という.Aが正方行列(nm)のときσ1,σ2,...,σm は固有値であり,U=V-1である.y=Axの関係にあるとき,特異値はxの変化に対するyの変化の比を示している.別の表現をすればxが単位球(m次元超球)の中を動くとき,yは特異値を軸の短長径とする楕円体(n次元超楕円体)の中を動く.

singular point[数学]:特異点:n×m行列Aの特異値が0を含むときAは特異であるという.y=Axの方程式でAが他の変数qの関数で表されるとき,Aが特異であるような点qを特異点という.σm=0である特異点ではxをどう動かしてもyの超楕円体のσm軸の方向に動くことができないという性質がある.

inner product[数学]:内積:2つのベクトルがあり,演算を内積と呼び,(a,b)またはabと表す.(a,b)=0のとき,abは直交しているという(2次元,3次元とのきは90゜をなす).力学系の例ではaを力ベクトル,bをそれによって動いた方向大きさとすると,E=(a, b)はエネルギーを表す.

vector product, cross product[数学]:外積,ベクトル積:2つの3次元ベクトルがあり,の計算を外積といい,と表す.ベクトルは3次元空間でと直角をなす(aからbへ回転してねじの進む方向にcは向いている).またである.力学系の例ではrをリンクベクトル,Fをリンク先端に加わる力とすると,M=r×Fはモーメントベクトルを表す.

linearly dependent[数学]:線形従属:変数(ベクトル)x1,x2,...,xnが定係数によって a1x1+a2x2+...+anxn=0 の関係があるとき線形従属という.

mapping[数学]:写像:関数と同じ.変数(ベクトル)xy=f(x)に変換するときxyに写像するという.

linear mapping[数学]:線形写像:y=Axと変換すること.

null space[数学]:ナル空間,ゼロ化空間:ベクトルxy=Ax と線形変換したとき,y=0 に変換するxの集まりをナル空間という.エンドエフェクタの速度vは関節速度ベクトルの関係にある.関節速度が0でなくてもvw=0となる場合がある.それが特異点であり,また冗長ロボットでは通常点でvw=0とする関節速度がある.

coordinate transformation[数学]:座標変換:座標系の向き・大きさを変えたり斜交系などに変換したりすること.

tensor[数学]:テンソル:{aij}(i, jは座標)が座標の取り方によって変わる量(物理量).例えば3次元応力は面の方向によって面に作用する応力値が変わるのでテンソルである.

orthogonal basis[数学]:正規直交基底:ベクトル空間が直交座標系で表すことができるとき,その座標系の単位ベクトルを正規直交基底という.

mapping[数学]:写像:1つの数(ベクトル,集合)Xを別の数(ベクトル・集合)Yへ変換することを写像と言い,内容的には関数と同じである.

rotational transformation (matrix)[数学]:回転変換(行列):座標系Σ1を回転して別の座標系Σ2を得るための変換(行列).

homogeneous transformation (matrix)[数学]:同次変換,同次変換行列(座標変換行列):3軸(平面なら2軸)の次元が全て等しい座標系(同次座標)Σ2から別の同次座標Σ1に回転・平行移動して得るための線形変換(行列).

affine space[数学]:アフィン空間:加法・分配則が成り立つベクトル空間.直交座標系,斜交座標系はアフィン空間である.

affine transformation[数学]:アフィン変換:ベクトル空間における座標を平行移動・伸縮・反転・回転・斜交などの変換をすること.

holonomic constraint[数学]:ホロノームな拘束:複数の変数が代数方程式または積分可能な微分方程式で表される拘束条件にあるときをいう.ロボットの関節変位と手先の運動の関係,その速度の間の関係などはこれに属する.

non-holonomic constraint[数学]:非ホロノームな拘束:複数の変数が不等式,または積分できない形の微分方程式で表される拘束条件にあるときをいう.足掛かりのない宇宙ロボット,車輪式移動ロボット,指の腹による物体の把握と操りなどはこれに属する.

closed form equation[数学]:閉じた形の方程式:2つの変数(ベクトル)がy=f(x)のように分離して表現された形の式・‥をいう.例えばロボットアームの動力学の式で関節角変位と関節の駆動トルク(力)のように陽に表現されている式は閉じた方程式といい,車輪式移動ロボットの運動学のように車輪回転角qとロボットの位置姿勢の関係がと表現された方程式は開いた方程式と言う.

Cartesian space[数学]:直角座標空間:直交する直線座標軸によって点の位置やベクトルの大きさなどが表現される空間.ロボットの運動・力学はこの3次元空間で論じられる.

linearization[数学]:線形化:@関数f(x)f(x)=x0+Ax+Bx2+・・・とテイラー展開できる.xを微小として2次以上の項を省略し,f(x)x0+Axとすることを線形化という.この線形化式は非線形系の平衡点回りの挙動を知るときに使われる.A関数y= f(x)xがある大きさxmを持つときdf(x)/dxの平均値に相当する勾配kをとってy=kxとする近似法.非線形問題を扱う手法の1つ.

perturbation method[数学]:摂動法:方程式dx/dt+a0x+εf(x)=0で表される式はε≪1ならx=exp(-a0t)に非常に近い.そこで解をx=exp(-at)+εg1(t)+ε2g2(t)+・・・, a=a0+εa1+ε2a2+・・・とεについて展開した形で求める.この解法を摂動法という.

linear programming[数学]:線形計画法:線形不等式の制約条件の下に線形の目的関数(評価関数)の最大値(最小値)を求める最適化問題の解法.シンプレックス法などがある.

quadratic programming[数学]:2次計画法:線形不等式の制約条件の下に2次関数の目的関数の最大値(最小値)を求める最適化問題の解法.いくつかの有効な解法が提案されている.

nonlinear programming[数学]:非線形計画法:非線形不等式の制約条件の下に非線形の目的関数の最大値(最小値)を求める最適化問題の解法.一般に適応可能な有効な解法はまだ見いだされていない.

Newton method, Newton-Raphson method[数学]:ニュートン法,ニュートン−ラプソン法の根を近似計算の繰り返しで求める方法.適当なxを仮定し,解でなければその点の勾配を求めての方向へxを変化させ,解に次第に近づける.初期値の取り方によって解が存在しても求まらないこともある.

recursive computation[数学]:反復計算法:ロボットアームの速度加速度解析や動力学解析を行うときに,1つのリンクの値に相対値を加算して次のリンクの値を求め,この計算を繰り返す漸化式形式の計算法.

degeneration[数学]:縮退,退化:例えば正方形板の振動モードが,長方形ならばあるはずなのに消えてしまう(2つが一緒になる)ことがある.一般に普通ならいくつかあるはずのものがその数が減る現象を縮退と言う.

Gaussian curvature[数学]:ガウス曲率:曲面上の1点の2つの主曲率の積.K=κ1κ2

fundamental quadratic forms of surface[数学]:曲面の基本2次形式:曲面の1点の近傍をz=Ax2+2Bxy+y2という2次形式で表現すること.あるzの断面は楕円であり,その長短軸方向に主曲率がある.

 

screw space[数学・運動]:スクリュー空間

motor algebra[数学・力学]:モータ代数:モータを基本とする剛体運動の運動学・力学の取り扱い手法の1つ.普通は並進と回転とは別々の式で表現されるが,モータ代数では一緒にして表現される.

motor[数学・力学]:モータ:並進運動と回転運動,または力とモーメントを同時表示したベクトル量.

dual number[数学]:2元数

dual vector[数学]:2元ベクトル

motor[数学]:2つのベクトルをまとめて表した2元ベクトル

velocity motor[数学・運動]:速度と回転速度ベクトル

acceleration motor[数学・運動]:

・対偶モータ

 

 

 

              [運動・力学]

 

manipulation[運動]:マニピュレーション,操り

multibody system[力学]:多体系:複数の剛体が関係を持っている系.ロボットのアームは相互に関節によって運動学的・力学的に影響し合っており,多体系である.惑星の運動なども多体系である.

isomorphic kinematical chain

number synthesis[メカ]:数総合

position[運動]:位置:点に対して定義される.位置ベクトルは座標原点から点までの座標(x,y,z)で表される.

displacement[運動]:変位:運動によって変化した位置の差(単位m).変位ベクトルは力や速度ベクトルと同じくベクトルの方向上どこに始点を置いても構わない.

velocity[運動]:速度:変位の時間微分で,速度ベクトルは変位ベクトルの時間微分より,となる.(単位はm/s

acceleration[運動]:加速度:速度の時間微分で,加速度ベクトルはとなる.

(単位は

Coriolis' acceleration[運動]:コリオリの加速度:点が同時に回転と直進をするとき生じる加速度で,コリオリの加速度は ac = 2ω×v で表される.円盤上で半径方向に真っ直ぐ歩くと円周方向に加速度が生じる(真っ直ぐ歩くためには横方向に力が必要)ということである.

centrifugal acceleration[運動]:遠心加速度:点が回転するときに半径の大きくなる方向に生じる加速度.求心加速度と向きが反対の加速度.

centripetal acceleration[運動]:求心加速度:点が回転するとき回転中心方向に作用する加速度で,(2次元ではar = -rω2)で表される.一定半径で回るためには中心方向に引っ張らねばならない.これが求心力である.

inertia force[力学]:慣性力:質量をm,加速度をaとすると,F=-maで表される力のこと.外力Fexが作用して質点が運動するとき,この慣性力を導入するとF + Fex=0 となり,静力学の釣り合い式と同じように扱える便利さがある.

Coriolis' force[力学]:コリオリの力:質点の質量をm,コリオリの加速度をacとすると,Fc =-macで表される慣性力のこと.

centrifugal force[力学]:遠心力:質点の質量をm,求心加速度をar とすると,Fr =-marで表される慣性力のこと.

centripetal force[力学]:求心力:質点の質量をm,求心加速度をar とすると,Fr =marで表される力のこと.物理的には質点の軌道を曲げるために必要な力ということができる.

jerk[運動]:ジャーク:加速度の時間微分.加速度の変化分を意味するが,ジャークが大きくても運動に直接的な悪い影響はない.ただし運動する系にばね性があるとジャークの大きい程振動が出やすくなるという性質がある.

angular displacement[運動]:角変位:剛体の1姿勢から回転して他の姿勢に変化したとき,その姿勢の変化をある軸回りの回転角で表したもの.平面運動では平面に垂直な軸回りの回転量1つで表せるが,3次元空間では3軸が必要であり,Eulerあるいはロール・ピッチ・ヨー角で表す.この3つの回転角はベクトル量ではない.

angular velocity[運動]:角速度:微少角変位の時間微分であり,ベクトル量である.すなわち,角速度ω1で回転する枠の中でω2で回転する剛体は,この瞬間には加算してωω1ω2の角速度ベクトルで回転していると見てよい.しかし,ω2はたとえ大きさが変わらなくてもω1の速さで軸が変化していること,すなわち角加速度αω1×ω2が生じていることに注意すべきである.(並進運動でvv1v2と比較せよ)

angular acceleration[運動]:角加速度:角速度の時間微分で,ベクトル量である.角速度ω1,角加速度α1で回転している枠の中でω2,α2で回転する剛体の角加速度は α = α1 + α2 + ω1×ω2 である.

path[運動]:経路:運動する点が描く軌跡で,時間的な情報を含まないもの(JISB0134-2041)cf.軌道).もっと一般化して剛体の位置と姿勢の移動を経路と言う場合もある.

trajectory[運動]:軌道:運動する点が描く軌跡で,時間的に点の位置がr(t)のように表されているもの(JISB0134-202) (cf.経路).もっと一般化して剛体の位置と姿勢の時間的変化R(t)を軌道と言う場合もある.

trajectory tracking[運動・制御]:軌道追従:軌道に沿って運動すること.(rf. trajectory tracking control)

relative motion[運動]:相対運動:2物体AとBの間の相対的な運動.並進運動しているAの上にBが乗っているとき,Aの運動にBの相対運動を加算すればBの絶対運動となる.ただし物体Aが回転運動をしているときは,相対運動を「Aが静止しているときのBの運動」と定義すると,Aの回転運動を加算したものにはならない(angular acceleration参照).Aの回転を考慮した上で加算できる形で相対運動を定義することもある.

relative displacement[運動]:相対変位:物体Aに対する物体Bの相対的な変位.

relative velocity[運動]:相対速度:物体Aに対する物体Bの相対的な速度.

relative acceleration[運動]:相対加速度:物体Aに対する物体Bの相対的な加速度.

rigid body[力学]:剛体:@運動においてある大きさを持つ物体をいう.質点は位置のみで運動を表現できるが,剛体は1つの代表点の並進運動とその点の回りの回転運動によって表現される.A弾性変形しない理想的な固い物体のこと.

degree of freedom[運動]:自由度:ある状態をいくつの変量で表現できるかを示す数.例えば平面上の拘束のない質点はx,yの2変数で表現できるので2自由度,原点回りの回転運動に拘束されているときは角度θだけで表せるので1自由度である.

degree of freedom of mechanism[運動]:機構の自由度:機構がある状態にあるとき,その状態をいくつの変量で表せるかを示す数.例えば4節リンク機構は1つの回転角を与えればリンクの全ての位置姿勢が決まるので1自由度,またn個の質点がばねでつながった振動系はn個の質点についての運動方程式が必要なのでn自由度である.

orientation[運動]:姿勢:物体の傾き.直接演算できる姿勢の表現は,物体に固定した(x,y,z)軸の3単位ベクトルの向きE=(ex,,ey, ez)である.

pose[運動]:ポーズ:@物体の位置と姿勢を併せて表現したもの.A関節変位を与えたときにとるロボットの姿態.(cf.コンフィギュレーション).

Euler’s angles[運動]:オイラー角:剛体の姿勢を表す3つの回転角.剛体に(x,y,z)軸を固定し,z,y,z軸の順に回転した量(φ,θ,ψ)のこと.オイラー角はベクトル量ではない.回転による姿勢の変化はオイラー角で直接表現できない.物体に固定した(x,y,z)軸の3単位ベクトルの向きE=(ex, ey, ez)が姿勢の演算できるベクトル量である.Eはオイラー角の正弦関数によって表される.

roll-pitch-yaw angles[運動]:ロール・ピッチ・ヨー角:剛体の姿勢を表す3つの回転角.剛体に(x,y,z)軸を固定し,x,y,z軸の順に回転した量(φ,θ,ψ)のこと.この角もベクトル量ではない.姿勢Eはこの3角の正弦関数によって表される.

force[力学]:力:力はベクトル量である(ベクトル演算できる.単位N).

internal force[力学]:内力:閉じた機構の中で生じていて外には現れない力.グリッパがものを挟む力は内力である.

conservative force[力学]:保存力:質点がA点からB点に動くときその位置エネルギーの差が軌跡に依存しないならば,質点に作用する力は保存力であるという.別の表現をすれば,重力場やばねに蓄えられたエネルギーのように出し入れしても減らないエネルギーから得られる力であり,エネルギーの力の方向の勾配で与えられるものである.これに対し摩擦力は非保存力である.

potential energy[力学]:保存エネルギー,ポテンシアルエネルギー出し入れできるエネルギーを保存エネルギーという.位置エネルギーE=mgh,ばねの蓄えるエネルギーE=kx2/2(xはばねの伸び)は保存エネルギーである.

kinetic energy[力学]:運動エネルギー:運動する物体の持つエネルギーで,速度vで運動する物体はE=mv2/2,角速度ωで回転運動する物体はE=ωTIω/2と表される.(Iは慣性行列

Newton equation[力学]:ニュートンの式:ニュートンの第2法則の式をロボットの分野ではニュートンの式と呼んでいる.すなわち質量mF,加速度aとすると F=ma である.剛体の運動でオイラーの式と併せて「ニュートンオイラーの式」と呼ぶことがある.

moment[力学]:モーメント(モーメントベクトル):回転させる強さの尺度で,rだけ離れた点にFの力が加わっているときのモーメントはM=r×Fと表される(ベクトル量で単位はNm)

couple[力学]:偶力:着力点が異なり,大きさ等しく向きが逆の2つの力の対.(単位Nm)

statics[力学]:静力学:静止している状態における力・モーメントの釣り合いを論じる力学.一定速度で運動していて固体摩擦が発生している状態の力学も静力学に含めることもある(準静力学).多数の力・モーメントが加わっている系では釣り合い式は力・モーメントの連立1次方程式となる.

dynamics[力学]:動力学:運動している状態の力学で,慣性力や振動を扱い,運動は時間微分を含む微分方程式となる.

momentum[力学]:運動量:質量と速度の積でベクトル量.多数の質点が運動しているときその運動量の総和は,たとえ衝突を繰り返して次第にエネルギーを失っても他とのエネルギーのやりとりがない限り運動量は一定であるという性質がある.

angular momentum[力学]:角運動量:剛体の慣性モーメントと角速度の積でベクトル量.多数の剛体からなる系の角運動量は一定であるという性質がある.1物体が一定の角運動量を持って自由空間にあるとき,他から力を受けないのに姿勢が周期的に変わるということもあり得る(自由歳差運動).

moment of inertia[力学]:慣性モーメント:並進運動の質量に対応して,剛体の回転運動のしにくさを表す量.すなわち平面上の回転運動では回転角加速度をα,加えたモーメントをτ,慣性モーメントをIとすると,τ=αである.軸からrだけ離れた所にある質点mの軸回りの慣性モーメントはImrである.剛体の慣性モーメントは微小質点の集まりとして計算される.(cf.慣性行列)

inertia matrix[力学]:慣性行列:剛体の回転運動のしにくさを量で,3×3の行列で表される.は各軸回りの慣性モーメント,は慣性乗積である.3軸の取り方によってIが変わることに注意すべきである.角速度・角加速度とモーメントとの関係はオイラーの式による.

inertia tensor[力学]:慣性テンソル:慣性行列と同じ.成分が物体に立てた3軸の向きによって変わるのでテンソルと呼ぶ.

products of inertia[力学]:慣性乗積:剛体に(x,y,z)軸をとり,剛体の微小質量をdmとすると慣性乗積はIxy=∫xydm,・・・・ などと表される.慣性乗積が0でないということは,回し初めに(ω=0)加えたモーメントと異なる方向の回転運動が生じることを意味している.

principal axes of inertia[力学]:慣性主軸:剛体の3つの慣性乗積が全て0となるような3軸のこと.均質な対称物体は対称軸とその直交軸が慣性主軸となる.慣性主軸は必ず存在する.適当に3軸を決めて求めた慣性行列から慣性主軸を計算することができ,これは引張り応力と剪断応力が同時に加わっているときの主応力を求める計算と同じで,3次方程式の根を求める問題に帰着する.

Euler equation[力学]:オイラーの式:3次元回転系の動力学から導かれる運動方程式.剛体の慣性行列を,角速度をω,角加速度をα,与えるモーメントをMとすると,オイラーの式は Mαω×ω と表される.並進運動と違ってαが0でもMが0でないことに注意.元々のオイラーの式は慣性乗積が0の場合をいうが,ロボットの分野では0でない場合もオイラーの式と呼んでいる.

Newton-Euler equation[力学]:ニュートン−オイラーの式:ニュートンの式とオイラーの式を併せて剛体の運動を表したもの.ロボットの運動方程式を導き,関節やアームに加わる力・モーメントの6成分を求める最もオーソドックスな手法.(cf.ラグランジュの式)

Lagrangian formulation[力学]:ラグランジュ法による定式化

Lagrangian method[力学]:ラグランジュ法:ロボットアームの動力学方程式を導く1つの方法.ロボットの全運動エネルギーT ,全保存エネルギーU とすると,L=T-U (これをLagrangianという)と置いて,各関節の変位(回転または並進)qk,関節駆動トルク(力)τの関係は

      (k=1,2,・・・・,n)

と表される.この式をLagrange equation(ラグランジュの方程式)という.この式は,全てのアームのエネルギーが関節速度関節変位の関数として運動学から与えられていれば力の釣り合いなどを考えなくても微分操作だけで導くことができるという特徴を持つ.反面,関節の変位方向以外の力・モーメント(軸受けに加わる力など)がこの式からは導かれないことに注意すべきである.

Appel’s method, Gibbs-Appel’s method[力]:アッペル法:ロボットアームの動力学方程式を導く1つの方法.一般化座標(ロボットの場合は関節変位q)の加速度によって表せるAppel関数を定義すると,一般化力(ロボットの場合は関節力・トルク)Qiと表される.閉ループ機構の動力学解析に有用であると言われる.

gyroscopic moment[力学]:ジャイロモーメント:慣性行列をもつ物体がωの角速度で回転しており,その軸をΩの角速度で回転させる(振れ回り運動)ためにはMΩ×ωのモーメントが必要である.これをジャイロモーメントという.傾いて回転するこまは重力によって倒れようとするモーメントが働くが,これによってΩの角速度の歳差運動が発生する.

inertia torque(inertial resistance moment)[力学]:慣性トルク(慣性抵抗モーメント):回転運動系における並進運動の「慣性力」に相当する量で,動モーメントの符号を逆にしたもの.回転している剛体が外力を受けて運動しているとき,慣性トルクを外力の1つとみなせば静力学と同じように扱える.

precession[力学]:歳差運動:こまに見られるような回転軸の首振り運動のこと.こまでは軸が傾いていると重力によってモーメントが生じそれが歳差運動を引き起こすが,モーメントが作用しなくても生じる「自由歳差運動」もある.

generalized coordinate[運動]:一般座標,広義座標:運動を直角座標で表現するよりも,その運動を規定する別の変数を取る方が便利だったりその必要があったりすることがある.この変数を一般座標という.例えば質点の回転運動の回転角,ロボットのn個の関節変位q=(q1,q2,...,qn)など.

generalized force[力学]:一般力,広義の力:一般座標に対応する力(モーメント)を一般力という.ロボットの関節変位を一般座標とすると,対応する一般力は関節の駆動力(モーメント)である.

principle of virtual work[力学]:仮想仕事の原理:静力学の力の釣り合いを求めるのに便利な手法を与える原理.いくつかの外力F1,F2,...が加わって釣り合い状態にあるとき,そこにわずかな変位を与えると着力点はδx1,δx2,・・・・だけ変化し,外力はF1δx1,F2δx2,・・・・の仕事をしたことになる.しかし外力の仕事の総和=0であり,この関係から外力の間の関係,すなわち力の釣り合い式を導いたことになる.

solid friction, Coulomb friction, dry friction[力学]:固体摩擦,クーロン摩擦,乾性摩擦:接触する2つの物体間の滑りに対する抵抗力.

friction coefficient[力学]:摩擦係数:接触する2物体間において,μ=(最大固体摩擦)/(接触面の法線力)のこと.普通μは一定とみなされているが,回転を伴う滑り運動においては,回転速度が大きくなるにつれてμが小さくなる(回っているこまはわずかな力で横にずらすことができる)ことに注意すべきである.

static friction[力学]:静摩擦(力):接触する2物体間の滑りがない状態で滑り方向の力に抗する固体摩擦力.動摩擦より大きいと言われるが,実際は条件によって必ずしも大きいとはいえない.

kinetic friction[力学]:動摩擦(力):接触する2物体間の滑っている状態で滑り方向と逆に作用する固体摩擦力.滑りの速度によって異なるケースが多い.

friction angle[力学]:摩擦角:摩擦係数をμとすると,φ=tan-1μのこと.2物体の接触面で法線からφ以下の傾き角で力を加えても滑りは生じない.

friction cone[力学]:摩擦円錐:2物体の接触面の法線から摩擦角φだけ傾いた線が描く円錐.3次元的に見て摩擦円錐より内側の方向から力を加えても滑りは生じない.

fluid friction[力学]:流体摩擦:流体の粘性によって生じる抵抗力で,普通は速度に比例する.

joint space[運動]:関節空間:ロボットの関節角(直動)変位を軸とする座標系.

stiffness[運動]:スティフネス,ばね性:ばね強さで,力に対する撓みの比(モーメントに対する回転量の比)k(N/m, Nm/rad).多自由度の場合はスティフネス行列と言う.

rigidity[運動]:剛性:スティフネスと同じ.

mechanical impedance[運動]:機械インピーダンス:速度に対する力の比.質点mの場合のインピーダンスは(ms)(sはラプラス演算子),ばね定数kのばね場合は(k/s)である.のばねマス系のインピーダンスは (ms+λ+k/s)である.

compliance[運動]:コンプライアンス:剛性(ばね性)の逆数(1/k)で,物体の柔らかさを示す.他自由度の場合はコンプライアンス行列と言い,剛性行列(スティフネス行列)の逆行列で表される.更に拡張して,で表されるばねマス系について1/(ms2+cs+k)動的コンプライアンスという.

compliant motion[運動・制御]:コンプライアント運動:物体に接触して物体の法線方向に力制御する運動

guarded motion[運動・制御]:近接非接触運動:物体や環境の近接を接触せずに動く運動.

collision avoidance[運動・制御]:衝突回避

interference[運動・制御]:干渉:@ロボットと周囲のもの,あるいはロボット自身がぶつかること.A歯車のかみ合う歯が食い込むようになって回転が進まなくなる状態.

interference detection, interference check[運動・制御]:干渉チェック:ロボットが干渉しないかでおうか調べること.

free space[運動]:自由空間:障害物を除く自由に動ける空間.

configuration space[運動]:コンフィギュレーション空間:関節変位を軸とする空間.関節空間.

configuration[運動]:コンフィギュレーション,形態:@関節変位を与えたときのロボットの姿態.(cf. ポーズ) Aロボット,またはロボットシステムの構成

configuration obstacle[運動]:コンフィギュレーション障害物:障害物形状を関節空間に換算(写像)して関節空間内に表した障害物が占める空間.この写像ができれば径路探索を関節空間内で容易に行える.

workspace, motion space[運動]:作業空間,可動空間,作動領域:ロボットアームの手先が作業し得る(到達し得る)点の集り,その領域.

reachable workspace[運動]:可到達可動領域:手首姿勢の如何を問わず達し得る領域.

dexterous(dextrous) workspace[運動]:任意姿勢可動領域:任意の姿勢で達し得る領域.

swept volume[運動]:可動領域体積:ロボットアームの手先が動き得る空間の体積.

task-level programming[運動・応用]:作業レベルの動作計画:作業を遂行するロボットの運動を生成する動作計画.

motion range of joint[運動]:関節変位の可動範囲

translation[運動]:直動:直線運動.

rotation[運動]:回転

moray drive[運動]:モレイ駆動:多自由度で直動関節を持つロボットアームにおいて,手先を位置をAからBに移動させるとき一旦アームを引っ込めてまた伸ばす運動をさせること.超多自由度ロボットアームではこの方がエネルギーが少なくて済むという.

redundant degree of freedom[運動]:冗長自由度:ロボットの手席のワークを任意位置姿勢に持っていくには6自由度が必要十分であるが,ロボットが6自由度以上もっているときその余分の自由度を冗長自由度という.

redundancy[運動]:冗長性:3次元空間を動くロボットが6自由度以上を持つとき(2次元なら3自由度以上),冗長性があるという.

singular point[数学・運動]:特異点:6自由度ロボットの手先がある位置で3次元空間で3自由度ロボットが2次元空間で)動かせない方向があるとき,この点を特異点という.この場合,ヤコビアンのrankは6以下(3以下)である.

singular pose, singular configuration[運動]:特異姿勢:特異点を持つようなロボットアームの姿勢(形態).

kinematics analysis[運動]:運動学的解析:ロボットの変位・速度・加速度解析をすること.

coordinate system[運動]:座標系

position[運動]:位置

orientation[運動]:姿勢:物体の姿勢は3自由度であり,3パラメータとしてオイラー角,またはロール・ピッチ・ヨー角で表すが,これらはベクトル量ではないので演算には姿勢ベクトル(姿勢行列)を使う.

Denavit-Hartenberg's transformation matrix[運動]:Denavit-Hartenbergの変換行列:2つの同次座標

系でΣ2からΣ1への座標変換において,Σ2上の座標値を,Σ1へ変換された座標値をとおいたとき,と線形変換する行列をいう.Aは4×4行列であり,これをと表すと,C3×3の行列でΣ1から見たΣ2の3軸の方向ベクトル,lはΣ1から見たΣ2の座標原点位置を意味する(Denavit-Hartenbergはこの行列を4つのパラメータで表現した).Cの3つのベクトルはexが法線ベクトル(normal vector)eyが方向ベクトル(orientation vector)ezが接近ベクトル(approach vector)と呼ばれることがある.この座標変換行列は姿勢と位置の変換を1つの行列で表現でき数学的な取り扱いが簡単という特徴を持つ.ロボットの運動学を表現するのに最も広く利用されている.

orientation vectors, orientation matrix[運動]:姿勢ベクトル:物体に固定した3つの単位ベクトルで,この方向によって物体の姿勢を表す.この3ベクトルを一緒にして3×3の行列としたものが姿勢行列である.

orientation transformation matrix[運動]:姿勢変換行列:上記のCのこと.はΣ1からΣ2への姿勢変換を意味する.

link coordinate system[運動]:リンク座標系:ロボットアームのリンク(アーム)に固定した座標系.

sensor coordinate system[運動]:センサ座標系:センサ(カメラなど)に固定した座標系.

task coordinate system[運動]:作業座標系:作業に合わせて決めた座標系.

base coordinate system[運動]:ベース座標系:ロボットベースを原点とする(と便利な)座標系.ロボットアームの運動解析はベース座標系を基準に記述される.

end effector coordinate system[運動]:エンドエフェクタ座標系:ハンド(エンドエフェクタ)に固定した座標系.

reference coordinate system[運動]:基準座標系:ロボット,作業環境を含む全体の位置姿勢を表す座標系.静止座標系,絶対座標系ともいう.

moving coordinate system[運動]:移動座標系:並進・回転する座標系のこと.ロボットリンク固定座標系,ハンド座標系は関節変位によって変わるので移動座標系である.

task vector[運動]:作業ベクトル:作業するエンドエフェクタの位置姿勢を表すパラメータを成分として並べたものを作業ベクトルという.位置姿勢のパラメータとは例えばエンドエフェクタの位置3成分,姿勢のロール・ピッチ・ヨー角3成分で,である.この場合Rwはベクトル量でない(疑似ベクトル)が,時間微分はベクトル量である.

joint displacement vector[運動]:関節変位ベクトル:関節変位(回転・直進)qiをまとめてと表したもの.

joint torque matrix[力学]:関節トルクベクトル:関節トルク(直動の力を含む)τiをまとめてと表したもの.

Jacobian matrix[数学・運動]:ヤコビ行列:作業ベクトル(または手先のワークの位置姿勢を表す6成分)をRwとするとこれは関節変位の関数であり,とすると,をヤコビ行列という.これは関節変位の速度とワーク速度の比を意味し,Jが大きいほど早い動きを得ることができる.

direct kinematics[運動]:順運動学:ロボットアームの関節変位qを与えて手先のワークの位置姿勢Rwを求める問題(Rw=f(q)を求める問題).座標変換行列を用いた定式化がよく使われる.

inverse kinematics[運動]:逆運動学:ロボットアームの手先のワークの位置姿勢Rwを与えて関節変位qを求める問題(q =f-1(Rw)を求める逆問題).一般的な解析解はまだ見出されていない.産業用ロボットのような単純な構造のロボットアームでは解析解が存在する.一般にはヤコビ法(ニュートン法)によって求める.位置の逆運動学,姿勢の逆運動学の一般的な解析解は求められており,この2つの交互の繰り返し演算によれば効率よく解を得ることができる.

Adept cycle[運動]:アデプトサイクル:小型ロボットの作業速度を表す標準の運動パターン(25mm上昇,300mm水平移動,25mm下降).

Cartesian space[運動]:3次元空間

joint space[運動]:関節変位空間:関節変位を軸とする多次元空間.ロボットの手先作業空間上の点の位置rは関節変位qと一般的にr=f(q)と表されるが,例えば2自由度2次元作業空間ならば点rq=f--1(r)で表される点に写像され,r(s)の曲線はq(s)=f-1(r(s))の関節空間の曲線へと写像される.

swept volume[運動]:掃引空間:ロボットの運動中に大きさのあるアームが通り過ぎる空間の体積.

coupling force, coupling moment[力学]:カップリング力,カップリングモーメント:ロボットの繋がった2つのリンク間で相互に作用する力・モーメント.

reaction force[運動]:反力:働きかける相手から受ける力.

reaction moment[運動]:反作用モーメント:働きかける相手から受けるモーメント.

joint torque vector[運動]:関節トルクベクトル:  関節の駆動トルク(直動の駆動力を含む)を関節の数だけ成分として並べたベクトル.τ=(τ,τ,・・・・,τ)

generalized coordinate[運動]:一般化座標:直進も回転も(あるいは曲線座標の変位も)変位として同等に扱うこと.3次元空間の一般化座標は(x,  y,  z, α, β, γ) と表せる.

generalized force[力学]:一般化力: 一般化座標に対応する直動の力と回転のトルク(モーメント).3次元空間の一般化力は(fix, fy, fz, Mα, Mβ, Mγ)Tと表せる.

wrench[力学]:レンチ:力とモーメントを併せて6成分のベクトル量として表現したもの.

equation of (robot) dynamics[力学]:(ロボットの)動力学方程式:ロボットアームの動的力・動的モーメントを考慮した,関節変位・速度・加速度と関節力(トルク)の関係式.一般的にと表される.τは関節力(トルク)ベクトル,qは関節変位ベクトルである.n自由度とすると,I(q)はマニピュレータ慣性行列(n×n)と呼ばれる.または慣性項(inertia term)はコリオリ項,G(q)は重力項(gravity term)と呼ばれる.その他の項には摩擦による項,外力による項などが含まれる.ロボットの逆動力学,ロボットの運動方程式と同じ.

equation of motion (of robot)[力学]:(ロボットの)運動方程式:ロボットの動力学方程式と同じ.

inverse dynamics[力学]:逆動力学:ロボットアームの関節変位・速度・加速度を与えて関節力(トルク)を求める問題.この式をロボットアームの逆動力学方程式,または単にロボットの動力学方程式という.

direct dynamics[力学]:順動力学:ロボットアームの関節力(トルク)を与えて関節変位を求める問題.動力学の微分方程式を解いて得られる.逆動力学方程式を解くより複雑である.

:ロボットの関節変位を与えて手先のワークの位置姿勢を求める問題.この定式化には幾つかの方法があるが,座標変換行列を利用する方法が最も普及している.また関節速度からワークの速度を,関節加速度からワークの加速度を求める問題も順運動学の内である.

Newton-Euler formulation[力学]:ニュートンオイラーの定式化:ロボットの動力学方程式をニュートンオイラーの式を使って反復計算によって導く計算法.この式から,所定の運動に必要な関節力(トルク)と関節に必要な抵抗力が導かれる.

Lagrangian formulation[力学]:ラグランジュの定式化Lagrangeの式を使って微分操作だけで関節力(トルク)を求める計算法.関節に必要な抵抗力はこの式からは得られない.

coverage task[運動]:領域包含作業(仮訳):空間の全領域を通過する作業.例えば部屋の掃除など.

singular configuration[運動]:特異姿勢:特異値の1つが0となる状態(特異点)のロボットアームの姿勢(コンフィギュレーション)のこと.

PTP motion(point-to-point motion)[運動]:PTP運動:静止した始点位置から静止した終点位置への運動.軌道は空間上どこを通っても構わない.始点・終点は位置と姿勢を含むこともある.産業用ロボットの組み立て作業や搬送作業はPTP運動である.

CP motion(continuous path motion)[運動]:CP運動:円や直線などの意味のある軌道を描く運動.時間的変化を含まない経路(path)と時間変化として表される軌道(trajectory)とがある.産業用ロボットのシーム溶接作業や塗装作業はCP運動である.

STS motion(state-to-state motion)[運動]:STS運動:初速を持つ始点から決まった時刻に速度を持つ終点へ移動する運動.より一般的にはある初期状態から決まった時刻に別の状態に移る運動.移動中に組み立て作業をする産業用ロボットはSTS運動である.

braquiation[運動]:ブラキエーション,鉄棒動作:鉄棒体操や横棒から横棒へ渡り歩く動作.動的制御の研究対象としてよく取り上げられていた.

geometric parameter[メカ・運動]:幾何学パラメータ:ロボットのリンクの長さ,角度など運動学の式に現れる定数.

dynamic parameter[運動]:動力学パラメータ:ロボットのリンクの質量,慣性モーメントなどの動力学の式に現れる定数.

parameter identification[運動]:パラメータ同定:ロボットの幾何学的・動力学的パラメータを直接測るのではなく,位置決めや動力学実験によって得た結果から推定すること.知りたいパラメータの影響が大きい状態で実験しないと推定精度は良くない.

manipulator inertia matrix[力学]:マニピュレータ慣性行列:ロボットの動力学方程式の慣性項の関節加速度の係数I(q)(rf. 動力学方程式)

general inertia ellipsoid(GIE)[力学]:一般化慣性楕円体:6自由度の関節速度ベクトルをワークの点の並進・回転速度へ変換し(Jはヤコビ行列),関節トルクベクトルτをワークのレンチ(力・モーメント)wへ変換する()と,ロボットの動力学方程式の慣性項*となる.このかっこ内の項を一般化慣性楕円体という.これはワークの点の動かしにくさを意味する.

manipulability[運動]:可操作性,可操作度:ロボットアームの手先の運動学的な動かし易さ.手先速度と関節速度ベクトルとの比を表すヤコビ行列をJとすると可操作度はで表される.

dynamic manipulability index[運動]:動的可操作度:ロボットアームの手先の慣性を考慮した動的な動かし易さ.マニピュレータの慣性行列をI,ヤコビ行列をJとすると,で表される.

palletizing[運動]:パレタイジング:ロボットの基本作業の1つ.ワークを規則的に並べる作業.

pick-and-place[運動]:ピックアンドプレース:ロボットの基本的な作業の1つで,ワークを一方から他方へ移動する作業.

bin-picking[運動]:ビンピッキング:ロボットの基本的な作業の1つ.置かれた状態が分からない部品の1つをとり,別の場所へ移動する作業.

tumbling motion[運動]:転がし運動:物体を転がす運動.例えば指1本で多角形物体を安定に転がす運動創成は可能であるが難しい.

prehensile grasp[運動]:包み込み把握:指で包み込むような把握.掌を使う把握も含む.

contact motion[運動]:接触運動:指が物体に接触しているとき,指に対する物体の相対運動.接触自由度は2〜5が考えられる.

detach motion, departure motion[運動]:離脱運動:接触している2物体が離脱する運動.機械の分解作業において自由度が拘束されているとき離脱可能な方向が制限される.

degree of freedom of contact motion[運動]:接触自由度:接触運動の自由度.点接触では,純転がり運動でf=2,滑りのないツイスト運動でf=3,滑りがありツイストのない運動でf=4,滑りもツイストもある運動でf=5である.滑りツイストがある面接触ではf=3である.

mobility[運動]:可動度:多指ハンドによって把握されている(把握によって運動が制約されている)物体が関節の自由度と接触の自由度とで持ち得る運動自由度のこと.指先で把握しているとして,接触自由度に指関節数を加えると1本の指による物体の自由度fwとなる.cw=6-fwは指1本による拘束数である.指の数だけ拘束数を加算すると多指で把握された物体の拘束数Cwとなる.Fw=6-Cwが物体の可動度である.

connectivity[運動]:連結度:多指ハンドによって把握されている物体が位置姿勢決めされるために必要な関節数.関節数が全部で6以上あっても無駄な関節があれば把握物体を任意に位置決めできるとは限らない.

power grasp[運動]:パワーグラスプ:掌や1指につき1つ以上の指の腹で接触するように力学的に非常に安定に把握すること.

tentacle grasp[運動]:触手把握:タコの足のように多数の関節を持ち包み込むように把握すること..パワーグラスプはこのハックの1種.

preshaping[運動]:予備形状化:多指ハンドで物体を把握しようとするとき物体に近づきながら予め物体形状に合わせるように指のポーズを整えること.

form closure grasp[運動]:閉じた形の把握:如何なる力・モーメントが加わっても安定性が保たれる把握.

force closure grasp[運動]:閉じた力系の把握:ある特定の力・モーメントに対して安定性が保たれる把握.

coupled vibration[運動]:連成振動:2つ(以上)の振動が互いに影響し合っていること.ばねマスの組が2つあれば2自由度振動系となり2つの振動モードを持つが,大抵の場合その2つは影響し合っている.座標系を変えれば2つの独立な振動系へと変換することができる.これを非連成化(decoupling)と言う.

normal (vibration) mode[運動]:固有(振動)モード:多自由度振動系または連続系(弦・梁・膜・板など)の振動では固有振動数が複数(離散系では自由度数だけの,連続系では無限の数)存在し,それぞれに対応して固有の振動の型がある.これを固有モードと言う.例えば両端固定の弦の振動では弦の長さをlとすると第n次の固有モードはsin(nπx/l)(n=1,2,・・・)である.

modal analysis[運動]:モーダル解析:機械の外力を与えてその応答を検出し,その結果から伝達関数,固有振動数,振動モードなどを調べること.

 

 

         [アクチュエータ]

 

actuator[駆動]:アクチュエータ:電気・油圧・空厚などのパワーを機械的パワーに変換するデバイス(JISB0134-2080).制御を目的として使用されるものをサーボアクチュエータという.

DC servomotor[駆動]:直流サーボモータ:永久磁石のステータと巻き線を持つロータからなるDCモータは,直流電流を入力としそれに比例するトルクを出力する.その比例定数をトルク定数(Nm/A)という.また回転速度に比例する逆起電圧を生じ,その比例定数を誘起電圧定数(V/(rad/s))という.この2つ定数の数値は等しい.一定電圧に対し速度が上がるとトルクが減り応答性が悪いので,電流制御として入力信号に比例するトルクを得るようにする.ロータに与える電流の切り替えをブラシで行っており,そのメインテナンスが必要である.ブラシレスDCサーボモータは永久磁石のロータと巻き線を持つステータからなるDCモータは,2つ,または3つの回転磁界を作りその合成磁界と永久磁石の向きとの位相差のトルクを生じる.回転磁界の回転による速度制御が基本である.ブラシによる切り替えがないのでコギングがなくメインテナンスフリーである.

AC servomotor[駆動]:交流サーボモータSM形とIM形がある.SM形はブラシレスDCサーボモータと同じ原理である.IM形は誘導交流モータと同じ原理である.すなわちステータに巻き線を持ち回転磁界を作る,ロータはかご形の導体で,回転磁界によって誘起電流を生じ,回転磁界とロータのスリップ率(回転速度の差)にほぼ比例するトルクを生じる.基本的に速度制御である.DCサーボモータより小型高パワーのものができている.

step motor(stepping motor)[駆動]:ステップモータ,パルスモータ:歯車形のロータと歯数が異なる内歯車形のステータを置き,歯の磁気極性を次々と切り替えてロータを断続的に回転するモータ.VR形(可変リラクタンス形),PM形(永久磁石形)がある.隣り合う2つの歯を励磁(2相励磁)すると1/2ステップの回転が得られ,1相2相励磁を繰り返すと2倍のこまかいステップ数が得られる.基本的に位置制御である.パルス駆動であり,コンピュータからのデジタル信号を直接駆動回路に入力することができるという特徴がある.

DD motor[駆動]:DDモータ:直接駆動(減速機なしで駆動)するモータ.通常の電動モータでは減速機なしではロボットアームの駆動はできないが,DDモータは高出力トルクで可能である.

linear motor[駆動]:リニアモータ:直線運動を与えるモータ.回転モータのステータ・ロータを直線上に並べればリニアモータになる.回転モータからねじ送り機構などによって直動を得るよりも構造が簡単であるが,減速機が使えないので強力な推力が必要である.

cogging torque, torque ripple[駆動]:コギング,トルクリップルDCサーボモータのスリップリングによる接続の切り替えは不連続であり,そのためにトルクが脈動する.これをコギングという.精密な位置決めや追従制御に悪影響を及ぼすことがある.

power rate[駆動]:パワーレートDCサーボモータの加速定数(無負荷で定格速度の達するまでの時間)T(s),定格パワーをP(W)とするとQ=P/T(W/s)で表される量で,ロータの慣性モーメントが小さいほど,出力パワーが大きいほど大きい.モータ性能を表す1つの指標で,軽量でパワーが大きいほど性能がよいと言える.

brushless DC servomotor[駆動]:ブラシレスDCサーボモータDCサーボモータ参照.

half-step drive[駆動]:1-2相励磁駆動:ステップモータ参照.

detent torque[駆動]:デテントトルクPM形のステップモータでは請求磁石を使っているので,電流を流さなくても回転位置を保持する能力を持つ.その保持する最大トルクをデテントトルクという.

stepping rate, pulse rate[駆動]:パルス周波数:ステップモータを駆動するパルスの周波数.

pull-in torque characteristics[駆動]:引き込みトルク特性:ステップモータの停止時から起動できる最大パルス周波数.負荷トルクの依存し,負荷が大きいほどゆっくり起動しないと正しく動かない.

starting torque characteristics[駆動]:起動特性:引き込みトルク特性と同じ.

pull-out torque characteristics[駆動]:脱出トルク特性:ステップモータを連続的に回転させることができる最大パルス周波数.負荷に依存し,負荷が大きいほど最大回転速度は小さい.

slewing torque characteristics[駆動]:スルーイングトルク特性:脱出トルク特性と同じ

servovalve[駆動]:サーボバルブ,サーボ弁:油圧サーボモータを制御する弁で,ポペット弁,スプール弁,ノズルフラッパ弁がある.弁を電気信号によって動かし,サーボモータへの油の流量や圧力を調整する.

hydraulic servomotor[駆動]:油圧サーボモータ:油圧で駆動するアクチュエータ.直動タイプ(シリンダーピストン)と回転タイプがある.サーボバルブと位置センサ(回転角センサ)によって制御される.小型で大きな力(トルク)を出し,応答性がよいという特徴がある.油圧源が必要でシステムとしては小型軽量というわけではない.大型のロボットに利用される.

electro-hydraulic actuator[駆動]:電気・油圧アクチュエータ:電気信号−増幅器−サーボバルブ−油圧サーボモータの一連の制御系を含むアクチュエータ.

pneumatic actuator[駆動]:空気圧アクチュエータ:空気圧で駆動するアクチュエータ.回転形もあるが,直動形(空気圧シリンダ)が専ら使われる.ストッパで制限された位置までON/OFFで動くケースが多い.油圧アクチュエータのようにサーボバルブを使って任意点の位置制御をする例もある.力(トルク)は電気モータより大きい.空圧源が必要である.

piezo(electric) actuator[駆動]:ピエゾアクチュエータ,圧電アクチュエータPZTのこと.

PZT[駆動]:PZT,圧電素子:圧電素子(PZT:鉛ジルコニウムチタン化合物)は電圧をかけると(電荷を与えると)歪む性質があり,それを利用してアクチュエータとして使える.ただし歪み量は非常に小さい(1mm厚で100V与えて0.02μm程度).薄いPZTを積層したアクチュエータがあり,最大数10μmの変位が得られている.,また逆に圧電素子に力(応力)を与えると電荷が生じ,この性質を利用して力(圧力)センサとして使える.主として精密位置決めに使われる.単体でnmオーダの超精密位置決めにも使われる.バイモルフ型で超音波送受信器にも利用されている.

optical piezoelectric actuator[駆動]:光圧電アクチュエータ:光歪現象を示す圧電素子を利用し,紫外線によって変位を得るアクチュエータ.光歪効果の他に焦電効果,熱変形効果もあり,総合して100μストレインが得られている.マイクロマシン向きのアクチュエータである.

ultrasonic motor[駆動]:超音波モータ:圧電素子を円板の周辺に並べ,電圧を順次与えて円周上の弾性体に進行波を作り,弾性体に接触する円板を回転させる構造のモータ.円板は予圧を与えられ,駆動トルクは予圧×摩擦係数に比例する.回転速度は遅く減速機なしで関節駆動などに利用できる.球面モータも考案されている.

inchworm (linear motor)[駆動]:インチウオーム:円柱のレイルを包む形でA掴む・B伸縮する・C掴むの3種のPZTを持ち,芋虫が這うように進む直動アクチュエータAで掴み,Cを解放し,Bを伸ばせばCが進み,A解放,B縮み,C掴みとすればAが引き寄せられる.この動作を繰り返せば進行する.1回の進み量は小さく,精密機構に利用される.

SMA(shape memory alloy)[駆動]:形状記憶合金,SMA:ある高い温度で形状を記憶させておき,低温で形を変えても,温度を上げるとまた記憶した形状を取り戻す性質を持つ合金.TiNi合金が大きな歪みを示す.ロボットのアクチュエータとしては低温と高温で材料の相変化によって歪みの量が熱膨張以上に変わることを利用している.その歪みも数%を超えない小さい量なので,何らかの拡大機構を用いている.温度を上げるのは早いが下げる有効な手だてがなく,早い応答はできない.

rubber actuator, artificial rubber muscle[駆動]:ラバーアクチュエータ,ゴム人工筋:ゴムチューブを網状の繊維で覆い,両端を金具で留めたもの.空気を入れると膨らみ長さが短くなる.力が強く(数10kgf)収縮率も大きい(10%以上)のでこの伸縮性を利用して人工筋肉として使える.

Romac(robotic muscle actuator)[駆動]:Romac:空圧を利用した人工筋肉.

metal hydride actuator[駆動]:水素吸蔵合金LaNi5TiFeなどの合金は温度を下げると高密度に水素を吸蔵し上げると放出する性質がある.この解離圧によってシリンダ圧力を上げ下げしシリンダタイプやベローズタイプの直動を得る構造のアクチュエータである.作られたアクチュエータは力が強くストロークも大きいが,応答が遅い(1サイクル50400秒)という欠点があり,ロボットへの応用にはまだ適さない.

electrostatic actuator[駆動]:静電アクチュエータ:2つの極板の間に高電圧をかけ,静電引力によって駆動するアクチュエータ.電極を短冊状に並べ,±の電圧を切り替えていくと直動が得られる.面積に比例する力が得られ,原理的には薄いシートを重ねて小さい体積で大きな力が得られるはずであるが,現在では自重の割に出せるパワーは小さい.

EPAM(electroactive polymer artificial muscle)[駆動]:ポリマー人工筋肉:誘電性エラストマ膜に電圧を与えると膜の面が拡がる.この原理を利用したアクチュエータで,応答性がよく,1g/Wという自然の筋肉並の高出力を得ることができるという.

power source[駆動]:動力源:バッテリー,油圧源などのエネルギーの元.

cybernetic actuator[駆動]:サイバネティックアクチュエータ:生体の骨格筋に類似したアクチュエータ.人工筋.

magnetic fluid actuator[駆動]:磁性流体アクチュエータ:ソレノイドタイプの直動アクチュエータのプランジャの代わりに磁性流体を利用したアクチュエータ.流体なので自由に方向を変えられる.磁性流体は水やケロシンなどの流体にマグネタイト(強磁性体)の微粒子を分散させてコロイド状にしたものである.

 

    [ロボット要素・機構]

 

electrically-driven robot[メカ]:電動ロボット:モータ駆動のロボット

hydraulically-driven robot[メカ]:油圧駆動ロボット:油圧駆動のロボット

pneumatically-driven robot[メカ]:空気圧駆動ロボット:空気圧駆動のロボット

gantry type robot[メカ]:ガントリ型ロボット:直動する門型構造を持つロボット.

telescopic manipulator[メカ]:テレスコピックマニピュレータ:三脚の脚のように伸び縮みするアーム構造のロボット.

mechanism[メカ]:メカニズム,機構

machine element[メカ]:機械要素:機械を構成する要素.伝動機構要素,機械部品(軸,軸受け,ねじ,フレームなど)がある.

ball bearing[メカ]:ボールベアリング,玉軸受:鋼球の転がりを利用した軸受で,摩擦係数が滑り軸受けと比べて非常に小さい.

magnetic bearing[メカ]:磁気軸受:磁気の吸引力によって浮かせた軸受で,固体摩擦が0である.接触部がないので摩耗粉が生じない.クリーンルームロボットに利用して便利である.

transmission element[メカ]:伝動機構要素:歯車,ベルト・プーリ,チェイン・スプロケット,ロープ(ワイヤ)・プーリ,平行クランク,蛇管各伝達機構がある.

gear[メカ]:歯車,装置

gear; spur -, helical -, bevel -, worm -[メカ]:平歯車,はすば歯車、かさ歯車,ウオームギヤ

pinion-rack[メカ]:ピニオンラック

magnetic gear[メカ]:磁気歯車N,Sに交互に磁化された歯を持つ歯車で磁気の吸引力で伝達が行われる.ステップモータのステータを回してロータを回す原理と同じである.かさ歯車の構成もできる.

reduction ratio[メカ]:減速比

backlash[メカ]:バックラッシュ:歯車のかみ合う歯の隙間.歯車の誤差の分だけ隙間が必要であり,避けられない.予圧をかけるなどでなくすことができるが,摩擦損失が大きくなる.ガタ.

play[メカ]:遊び,ガタ:運動伝達の入出力の間の不感帯.軸受けの隙間.ガタがフィードバック制御系にあると系が不安定になり易い.

screw-nut system[メカ]:ねじ送りシステム:台形ねじなどの普通のねじ送り機構とボールねじ送り機構がある.前者は摩擦損失が大きく後者は非常に小さい.

ball screw[メカ]:ボールねじ:ねじ面にボールを入れて伝達効率を高めたねじ送り機構.

wire[メカ]:ワイヤ

cable[メカ]:ケーブル

tendon[メカ]:腱,ワイヤ

tendon sheath[メカ]:蛇管・ワイヤ系:蛇管に包まれたワイヤで,撓んでいてもワイヤの運動が伝達できる.蛇管との間の摩擦が大きいので制御系に使うと安定性・精度に問題がある.

chain[メカ]:チェーン

belt[メカ]:ベルト

toothed belt(synchronous belt)[メカ]:歯付きベルト,タイミングベルト:歯のついたベルトで,ベルト伝達機構と違って滑りがなく伝達が確実である.樹脂製が多く,チェインより伝達能力は低く剛性が低いが静かである.

roller chain[メカ]:ローラーチェイン:ローラとリンクのつながりからなるチェイン.チェインには他にサイレントチェインがある.

sprocket[メカ]:スプロケット:チェインを引っかける歯のついた車.

planetary gear reduction[メカ]:遊星歯車減速装置:内歯車・遊星歯車・太陽歯車の組み合わせからなる体積当たりの減速比が大きく伝達効率のよい減速機.

harmonic drive gearing[メカ]:ハーモニックドライブ:小型で大きな減速比が得られる特殊な歯車の減速機で,普通の歯車の組み合わせからなる減速機と較べてバックラッシュが小さい,伝達効率がよいなどの特徴を持つ.

multi-train epicycloidal reduction gear[メカ]:RV減速機:特殊な歯形(円弧とエピサイクロイド)の歯車による2重の遊星歯車機構.大減速比を得るという特徴を持つ.

linkage mechanism[メカ]:リンク機構:リンク(棒)と対偶(直動・回転関節)が連結した機構.ロボットアームはリンクと関節が直列につながった開ループリンク機構(open-loop(chain) linkage mechanism, serial linkage mechanism)であり,パラレルロボットは閉ループリンク機構(closed-loop(chain) linkage mechanism, parallel linkage mechanism)である.

analysis of mechanism[メカ]:機構の解析:機構の変位速度加速度解析をすること.

synthesis of mechanism[メカ]:機構の総合:機構を設計すること.与えられた運動をする機構の形態や寸法を決める問題.

sensitivity of design[メカ]:設計感度:設計の目的関数Hを最適化するとき,変数である設計パラメータp=(p1, p2, ・・・・, pn)の変化に対する関数の変化の割合si=H/piを感度と言う.感度の大きいパラメータを変えればより早く最適化が図れる.対話型設計に利用して便利である.

joint[メカ]:ジョイント,関節:回転または直線運動する対偶.回転運動だけをジョイント・関節ということもあるので注意.(JISB0134-2015, 2018)

joint, revolute joint, rotational joint, rotary joint[メカ]:回転関節:回転対偶の関節.

prismatic joint, translational joint, slide joint[メカ]:直動関節:直動対偶の関節.

spherical joint[メカ]:球面関節:回転3自由度をもつ関節.受動関節としては使えるが,能動関節とするにはモータで直接駆動できないので,人間の筋肉に似せて,リンクに腱(ワイヤ)をつけて引っ張る機構が必要である.超音波モータを球面に並べて直接駆動する試みもある.

active joint[メカ]:能動関節:モータによって駆動される関節.(JISB0134-2016)

passive joint[メカ]:受動関節:駆動されない自由な関節.(JISB0134-2017)

linear motion guide[メカ]:直動案内:直線運動するには要素(アーム)を支え案内する装置が必要である.直動関節を持つロボットは全体が大きく重くなる傾向がある.

micromechanism[メカ]:マイクロメカニズム:μmオーダの機構.数mmの機械もマイクロメカニズムと呼ぶこともある.

MEMS(micro electro-mechanical system)[メカ]:MEMS,マイクロ電子機械システム,マイクロメカトロニクス:μmオーダのメカニズム・電子回路・センサを組み込みあるいは単独に製作したデバイス,またはその技術.

arm[メカ]:アーム:ロボットアームの運動学ではリンクといい,太さ形状を考慮するときにはアームという.(JISD0134-2020)

wrist[メカ]:リスト,手首:ロボットアームの先のハンドを取り付ける関節機構.把握したワークの姿勢を決めるためのもの.2自由度,3自由度を組み込んだ手首がある.人間の手首は2自由度であり,姿勢決めのもう1つの自由度は肘の自転が受け持っている.(JISB0134-2022)

end effector[メカ]:エンドエフェクタ,末端効果器:ロボットが対象物に働きかける装置.グリッパ,溶接ロボットの溶接機,ねじ締めロボットのねじ締め機などがその例である.(JISB0134-2025)

hand, mechanical hand[メカ]:ハンド:指を持ち,把握や操りができる機構.グリッパはハンドの1種.

grasping mechanism, gripper[メカ]:グリッパ:2本(希に3本以上)の指(爪)を持ち,対象物を把握するもの.対象物の形状によって様々グリッパ機構が考案されている.

RCC(remote center compliance)[メカ]:RCC:ピン挿入作業において,グリッパを4節リンク機構とし,ピン先端を中心とする運動を作ればピンを挿入し易くなる.この機構をRCCと言う.

geometric configuration of robot[メカ]:ロボットの構成,形態:@ロボットの構造的な構成.Aロボットのコンフィギュレーション,幾何学的な形態.

link[メカ]:リンク:運動機構を構成する1要素.機構は基本的にリンクと対偶からなる.ロボットアームの運動学ではアームを1本の線(棒)で表しリンクという.

(kinematical) pair[メカ]:対偶:運動機構を構成する1要素で,リンクの相対運動を回転や直動などの自由度を残して他の動きを拘束するもの.ロボットでは関節という.一般的には1自由度(回転・直動),2自由度(滑り回転),3自由度(球面関節)などの対偶がある.

open-loop kinematical chain[メカ]:開ループ機構連鎖:リンクと対偶が直列につながり,その先が開いている(拘束なし)リンク機構.普通のロボットアームはこの機構である.

closed-loop kinematical chain[メカ]:閉ループ機構連鎖:リンクと対偶のつながりが閉じて(その先が固定)いて全体としてループをなすリンク機構.あるいは部分的に閉じているものも含む.パラレルマニピュレータはこの機構である.

offset[メカ]:オフセット:ロボットアームの隣り合うリンクが関節点を共有するときオフセットがないといい,共有しないときそのずれをオフセットという.すなわち1リンクの先端に関節があり,その軸延長上に次のリンクの関節対偶があるとき,オフセットがあるという.

indirect drive[メカ]:間接駆動:ロボットアームの関節を駆動するモータを関節部とは別の位置に置き,伝達機構を使って駆動する方式.モータをベースに置いて伝達するとロボットの軽量化が可能である.

direct drive[メカ]:直接駆動:@ロボットアームの関節に直接アクチュエータを取り付けて駆動する方式.構造が簡単である.Aロボットアームの関節を減速機なしに直接モータが駆動する方式.通常の電動モータはトルクが小さいので減速機が必要であるが,高トルクモータ(DDモータ)を使うと減速機なしとすることができる.

serial link manipulator[メカ]:直列リンク式マニピュレータ:リンクが直列に繋がってその先端にハンドがあるマニピュレータ(ロボットアーム)で,通常のロボットはこのタイプである.

parallel link manipulator[メカ]:パラレルマニピュレータ:リンクが閉じている(繋がったリンクの先端がベースと繋がっている)マニピュレータ.1リンクに2リンク以下が繋がっている.または部分的に並列に繋がったリンクがあり,そのどれかのリンクにハンドがあるマニピュレータ.1リンクに3リンク以上が繋がっており,構造として剛性が高く力仕事に向いている.ただし運動学的解析が複雑である.

Cartesian coordinate robot[メカ]:直角座標ロボット:直角座標(x, y, z)形式に動作するロボットアーム.直動3関節を持つ.制御系が非干渉であり,位置誤差が場所に関係なく一定であるという特徴を持つ.その反面全体の重量が大きく速度が比較的遅いという欠点がある.(JISB0134-1301)

cylindrical coordinate robot[メカ]:円筒座標ロボット:円筒座標(r,θ, z)形式に動作するロボットアーム.直動2関節,回転1関節を持つ(RSS).周囲に複数の対象物を並べて順次作業する場合に向いている.(JISB0134 -1302)

polar coordinate robot[メカ]:極座標ロボット:極座標(r,θ,φ)形式に動作するロボット.直動2関節,回転1関節を持つ(RPS).直動rのリンクがθ回転軸と干渉しないようにφ回転が制限を受け,可動領域が狭い.(JISB0134-1303)

articulated robot[メカ]:多関節ロボット:回転関節だけで構成されるロボットアーム.可動領域が広く速度を大きくすることができる.RPP型を垂直多関節ロボットと呼ぶことがある.

Scheinman arm[メカ]:シャインマンアーム:極座標ロボットの半径方向に動くアームをθ回転軸とオフセットをつけ,φ回転の制限をなくしたロボットアーム.

SCARA robot[メカ]:スカラロボット:2関節がZ軸回転関節を持つ(PP)ロボットアーム.水平多関節ロボットと呼ぶことがある.PP関節の先にZ方向直動関節をつけて上から組み立て作業するのに便利である.元々はSCARAselective compliance assembly robot arm:選択的コンプライアンス組み立てロボットアームの意味で,水平面で柔らかく垂直方向に硬いという特徴を持つことからの命名であるが,自動組み立て作業でその特性を生かしているわけではない.

elbow[メカ]:肘

shoulder[メカ]:肩

upper arm[メカ]:上腕

forearm[メカ]:前腕

anthropomorphic[メカ]:人間型

prosthesis[応用・メカ]:人工義手,人工義足

prosthetic joint[メカ]:人工関節

parallel link[メカ]:平行リンク

pantograph[メカ]:パンタグラフ

torque tube[メカ]:トルクチューブ:筒型の回転軸.中空なので直径を変えて同軸で何重にも回転を伝達できる.

flexible arm[メカ]:フレキシブルアーム,柔軟アーム:ロボットアームが撓みやすくできているもの.アームを細く軽量化できるが,振動制御が難しい.

flexible robot, flexible manipulator[メカ]:フレキシブルロボット,フレキシブルマニピュレータ:フレキシブルアームと同じ.使い勝手がよいロボットと言う意味もあるので注意.

hand[メカ]:ハンド

finger[メカ]:指

fingertip[メカ]:指先

fingersurface[メカ]:指の腹

end effector[メカ]:(末端)効果器,エンドエフェクタ:ロボットアームが対象物に働きかける機構.例えばグリッパは把握し,溶接棒は溶接する機能を持つ効果器である.

mechanical hand[メカ]:メカニカルハンド:対象物に合わせて作られた指を持ち,開閉運動によって対象物を把握するためのハンド.指関節を自由に制御できるハンドは含めない.

mechanical gripper[メカ]:メカニカルグリッパ:メカニカルハンドと同じ.

multi-finger hand[メカ]:多指ハンド:多指多関節を持ち,把握操りを制御できるハンド.

universal hand[メカ]:万能ハンド:多指ハンドと同じ.

soft gripper[メカ]:ソフトグリッパ:@力覚センサを持ち力を制御して柔らかく把握できるグリッパ.A多関節指が1本のワイヤで駆動され,対象物に合わせて自然に包み込むような把握をする特殊なハンド.

jaw[メカ]:爪:グリッパの指につけて対象物を把握しやすく形状を工夫した部品.

power assistance[メカ]:動力補助:人工義手・義足や操縦ロボットの操作者の操作に,パワーを拡大して大きな力を出せるようにすること.

suction cup[メカ・応用]:吸盤:真空吸着するもので,壁面移動ロボットに利用される.

 

                    [制御]

 

control[制御]:制御:(JISZ8116-1)「制御」にいろいろな言葉を付けて〜制御というが,〜制御は「〜を制御する」,「〜によって制御する」,「〜の方法によって制御する」の意味があり,〜が目的か手段かの混同がよくある.「コンプライアンス制御」はコンプライアンスを制御する意味にも,コンプライアンスによって力や運動をうまく制御する意味にも使われている.〜は普通名詞として何でも付けられるので造語には注意すべきである.

active control[制御]:アクティブ制御:アクチュエータによって制御することで,普通に使われている制御はアクティブ制御である.「アクティブ」を付けるのは,例えば振動抑制には普通はダンパーなど機械の構成を工夫して行うパッシブな方法に対し,特に制御技術により抑制する場合に使う.

passive control[制御]:パッシブ制御:アクチュエータを使わずに制御する方法.ダンパーによる振動制御や,一般的には自然に任せてポテンシアルの低い位置に行くように工夫した制御を言う.「制御」と言う用語は積極的に働きかける意味を持つからパッシブ制御の用語はあまり使わない方がよい.

software servo[制御]:ソフトウェアサーボ:ロボットの運動のフィードバック制御ループに電算機が含まれているサーボ系.電算機は入力取り込み・計算・出力に有限の時間がかかるので制御系はその時間遅れがあり,基本的にはサンプル値制御系となる.

digital servo[制御]:デジタルサーボ:電算機のデジタル信号をループに含むサーボ系でソフトウェアサーボと同じ意味.

electro-hydraulic servo mechanism[制御]:電気油圧サーボ機構:サーボ機構を持っている油圧駆動方式.

velocity control[制御]:速度制御:ロボット制御系において入力に対して速度が出力となる系.産業用ロボットはこの制御系が多く,その外側に位置フィードバック制御ル−プがある.このタイプの制御系はトルク制御ができない.

current control[制御]:電流制御:ロボット制御系において入力に対して電流が制御され,すなわちトルク制御が可能な系.DDロボットならばこの制御系で力制御・コンプライアンス制御が可能であるが,減速機付きロボットでは摩擦損失が大きく力制御は難しい.

PWM(pulse width modulation)[制御]:PWM,パルス幅変調:入力信号をモータ駆動信号に変換(増幅)するもので,鋸歯状波と入力信号との差をとり大きく増幅すれば(0,1)の矩形波となる.入力信号に比例して1の幅が変わり,平滑化すれば入力信号に比例する駆動信号が得られる.アナログ的に増幅しにくいパワーアンプに有効である.

reference[制御]:目標値:制御において目標とする値.指令値.(JISZ8116-27)

command[制御]:指令値:目標値と同じ.

controlled variable[制御]:制御量:制御の対象となる量(JISZ8116-28).位置制御の位置,力制御の力など.

control variable[制御]:制御変数:制御入力として与えられる量.位置制御の位置指令,力制御の力指令,CP運動の関節変位の変化など.

feedback control[制御]:フィードバック制御:制御量を目標値と比較し,それらを一致させるようにフィードバックする制御.(JISB0134-5018, JISZ9116-4)

PID control[制御]:PID制御:フィードバック制御において,目標値との誤差(P)の定数倍だけでなく誤差の微分(D)・積分値(I)の定数倍を加えてフィードバックする制御.微分値のフィードバックは系の応答性をよくし,積分値のフィードバックは定常誤差をなくす効果がある.

feedforward control[制御]:フィードフォワード制御:目標からずれる要因を影響が現れる前に訂正動作を行う制御 (JISB0134-5017, JISZ8116-5).例えばロボットの軌道追従制御において,軌道を通るために必要なトルク(力)を予め計算して加えてやれば遅れがなく,忠実に軌道を追従できる.

sequential control[制御]:シーケンス制御,逐次制御:予め決められた順序に従って段階を逐次進めていく制御(JISB0134-5016, JISZ8116-6)

sensory control[制御]:感覚制御,センサ制御:センサから得られる情報を利用する制御(JISB0134-5019).普通は外界センサによる制御を指す.(JISB0134-5019)

resolved motion rate control[制御]:分解速度制御:ロボットの速度制御において,ワークの速度を関節速度に変換し()を制御する方法.指令速度に位置誤差のフィードバックを加算すれば(),位置制御となる.

resolved acceleration control[制御]:分解加速度制御:ロボットの加速度制御において,ワークの加速度を関節速度に変換し()を制御する方法.指令加速度に位置・速度誤差のフィードバックを加算すれば(,位置制御となる.

sensor-based control[制御]:センサベースドコントロール:センサ制御と同じ.

behavior-based control[制御]:ビヘイビアベースドコントロール:外的なロボットの動作をフィードバックする制御.

model-based control[制御]:モデルベースドコントロール:コンピュータにモデルを持ちそのモデルと照らし合わせながら制御する方法.

force control[制御]:力制御:ロボットアーム手先の力を制御すること.手先力を関節トルク(力)に変換して関節トルクを制御する方法と,手先にばね性(コンプライアンス)を持たせて,あるいは関節駆動モータのサーボ剛性(フィードバックゲイン)を利用して,力に相当するばねの撓みを位置制御によって目標力を得る方法とがある.前者は関節制御系がトルク制御できる構成である必要がある.

stiffness control[制御]:スティフネス制御,剛性制御:@ロボットと対象物との間に一定の力を加え,位置がずれたら対象物との間にばねがあるかのように力を変える関節トルク制御法.A対象物との間のばね強さを可変にして調整する制御.

compliance control[制御]:コンプライアンス制御:@スティフネス制御と概念はほぼ同じである.いくらか違う点は,実際に柔らかさを持つ手先で対象物に加える力を駆動モータの位置(角度)制御によって制御する方法も含むことである.あるいは手先に仮想的にばね(コンプライアンス)を設定し,接触力を制御する.これは関節を動かすモータの位置フィードバックゲインを調整すれば可能である.Aコンプライアンスを状況に応じて変更する制御方式.

dynamic compliance control[制御]:動的コンプライアンス制御:ロボットアームの慣性力などを考慮してコンプライアンス制御すること.普通は静的なコンプライアンスであり,動的な影響は考えていない.

virtual compliance control[制御]:仮想コンプライアンス制御:ロボットと対象物の間にコンプライアンスを仮定して,力が一定となるように対象物との距離を保つ制御.

impedance control[制御]:インピーダンス制御:@スティフネス制御の拡張概念である.手先の実際のインピーダンス(ばね・ダンパ)を利用し,あるいは仮想的にインピーダンスを設定し,接触力の制御する.Aインピーダンスを状況に応じて変更する制御方式.

learning control[制御]:学習制御:制御系に未知の事柄があるとき,作業を繰り返しながらその未知量を学習して確定し制御の質を向上させる制御(JISB0134-5025)

sliding mode control[制御]:スライディングモード制御:一定の目標値に到達させるフィードバック制御において,途中の軌道の変位x,速度vのパターン(切り替え線)決めておき(例えばx+cv=0のように),それに沿う運動(sliding mode)をするようにフィードバックする制御法.上記の例では目標点へexp(-ct)で近づく.cが大きいと早く行き着くが,駆動力(トルク)に限界があると切り替え線に沿う運動ができなくなるので,切り替え線の設定には注意を要する.ロボットアームのようにn自由度の場合,切り替え線は2n次元空間の切り替え面になる.系が非線形で複雑なとき,その動特性を計算せず簡単なアルゴリズムで制御できるという特徴を持つ.

VCC(variable structure control)[制御]:可変構造制御:スライディングモード制御と同じ.

vibration control[制御]:振動制御:外乱や過渡的に生じた振動を小さくしたり完全になくす制御.

・Hcontrol[制御]:H制御:制御系の設計において応答の特性を最適化するのに評価関数として周波数領域における2乗和をとって最小化(最大化)する手法.通常の設計では時間領域で評価関数を作っている.これは様々なスペクトルを持つ外乱を一様に制御し,ロバスト性を高めるという特徴があるが,計算が面倒である.

adaptive control[制御]:適応制御:環境の変化に応じて制御系の特性をよりよい方向へ制御系のパラメータを変化させる制御.(JISB0134-5024)

model referenced adaptive control(MRAC)[制御]:モデル規範型適応制御:実際の制御対象と異なるモデルを設定しそのモデルと一致するように制御系のパラメータを時間的に変化させる制御法.対象が複雑で不確かさがあるとき簡単なモデルを設定して系の特性を簡単化する特徴がある.

model following control[制御]:モデル追従制御:モデル規範型適応制御と同じ.

cooperative control[制御]:協調制御:複数のロボットによって1つの作業を行うための制御(JISB0134-5032)

coordinated control[制御]:協調制御:例えば4脚移動ロボットが歩くとき,倒れないように4脚が協調するように動かす制御.多指ハンドが物体を操る運動の制御やCP運動の関節変位の制御なども協調制御である.

distributed control[制御]:分散制御:複数の制御系が独立に存在し,それらが1つにまとまったもの(JISB0134-5033).原則として互いに協力はしない.各自がベストを尽くせば全体としてもよい秩序が生まれるという思想に基づいている.

hierarchy control[制御]:階層制御:いくつかのレベルに階層的に組み立てられた制御系の制御法(JISB0134-5034).下位層は上位に管理されて局部的な制御を担当し,上位層は複数の下位層から情報を受け取り管理すると共により上位の層へ情報を流し管理される.軍隊によく似た組織の制御体系.分散制御の対極にある.

group control[制御]:群管理制御:複数の制御すべき対象を集中的に管理する制御法(JISB0134-5035)

program control[制御]:プログラム制御:目標値とその変更が予めプログラムされており,その変化に従って制御する制御法(cf. 定値制御,追従制御).(JISZ8116-9)

follow-up control[制御]:追従制御:時々刻々変化する目標値に追従する制御(cf. 定値制御).マニピュレータのCP制御は追従制御の1つ.(JISZ8116-8)

set-up control[制御]:定値制御:目標値が時間的に変化しない場合の制御(cf. 追従制御).マニピュレータのPTP制御は定値制御の1つ.(JISZ8116-7)

tracking control[制御]:追値制御:追従制御と同じ.

compensating control[制御]:補償制御:外乱や外力によって生じた誤差を補償する制御.本質的にはフィードバック制御と変わらない.

optimal control[制御]:最適制御:ある評価関数を与え,それが最小(最大)になるように系の入力を決める制御法(JISZ8116-13).評価関数が消費エネルギーのときはエネルギー最小制御となり,時間のときは最短時間制御となる.最適制御はフィードバックの概念はなく,ものを押す力だけで位置決めする例のように,系のモデルの推定値や入力に少しでも誤差があると目標位置から大きくずれてしまう.実用上は最適制御とフィードバック制御を組み合わせるなどの工夫が必要である.

time optimal control[制御]:最短時間制御:大きさに限界のある入力で最も早く目標に到達する最適制御の1つ.ロボットの運動で,モータの出力の最大値が決まっているとき最短時間制御はバンバン制御となる.

robust control[制御]:ロバスト制御:制御系に多少のモデル不確かさや外乱があっても不具合が生じないような制御法.

bang-bang control[制御]:バンバン制御:制御系において入力が矩形波的に不連続に変化する制御法.マニピュレータの運動制御ではバンバン制御は機械系の振動を生じやすい.

PTP control[制御]:PTP制御:ロボットのPTP動作の制御.(JISB0134-2047)

CP control[制御]:CP制御:ロボットのCP動作の制御.(JISB0134-2046)

STS control[制御]:STS制御:ロボットのSTS動作の制御.

trajectory control[制御・移動]:軌道制御:ロボットの軌道の制御.(JISB0134-2044)

servomechanism[制御]:サーボ機構:物理的な量(位置・姿勢・方位など)を制御量とし,それを指令の一定値に保ち,あるいは指令値の変化に追従するように構成された制御系(JISB0134-5026)

process control[制御]:プロセス制御:工業プロセスの状態(温度・流量・圧力など)の制御(JISZ8116-16

automatic regulation[制御]:自動調整:速度・張力・電圧・電流などの自動制御.

disturbance[制御]:外乱:制御系を乱すもの(JISZ8116-31).電気的な白色ノイズ,機械系の摩擦など.

transfer function[制御]:伝達関数:線形動的システムにおいて,入力x(t)と出力y(t)の関係をラプラス変換するとY(s)=G(s)X(s)と表現される.G(s)は系の特性を表し,伝達関数という.時間領域で応答を求めるにはその微分方程式を解くか畳み込み積分を行うか,複数系が繋がっている場合にどちらも面倒な計算をせねばならない.伝達関数を使えば積だけで済み,取り扱いが容易になる.

Fourier transform[情報]:フーリエ変換:時間関数についての演算をフーリエ変換という.物理的には,のスペクトルを意味し,フーリエ変換とはスペクトル解析のことである.ただしの単位は[の単位/(rad/s)](スペクトル密度)であることに注意.フーリエ逆変換の振幅の正弦波を全て加え合わせれば元の時間関数が得られることを意味する.

Laplace transform[制御]:ラプラス変換:フーリエ変換jωに置き換えたものと考えてよい(厳密には少し違う).に関する常微分方程式(線形系)をラプラス変換すると)X(s)に,微分記号snに置き換えることができる.ただしこのときt=0のときの値は全ての微分を含めて0であることを仮定していることに注意.またラプラス変換は非線形系には適用できないことに注意.

steady-state response[制御]:定常応答:動的システムの入力が一定あるいは周期的変化である場合,ある初期条件から出発して十分時間が経過すると自由振動(自由応答)が消え,出力は一定あるいは周期的応答となる(系が安定ならば).これを定常応答という.線形系では定常状態の出力の周期は入力と同じである.非線形系では入力周期の整数倍や分数倍の周期となることもある.また入力が0でも自己周期で定常振動することもある.入力が非周期的のときは出力も非周期的であり,この場合は定常応答の概念はない.

transient response[制御]:過渡応答:動的システムにおいて入力をを与えてから定常状態に到るまでの経過を過渡応答という(JISZ8116-33).過渡応答は線形系では入力に対する定常応答と初期状態から決まる系固有の自由振動(状態変化)の和として表される.系に減衰があるとこの振動はいずれ消えてなくなり定常状態に到る.

impulse response[制御]:インパルス応答:動的システムに入力としてインパルスを与えたときの出力の応答(JISZ8116-34).線形系ではこの応答g(t)のラプラス変換は系の動特性(伝達関数G(s)を表す.この方法で動特性を測る実験をすることがよくあるが,理想的なインパルスを与えるやり方が難しい.インパルス応答は出力y(t)の初期条件としてy(0)=0dy/dt(0)=1と仮定したときの過渡応答と等しい.

convolution integral[制御]:畳み込み積分:線形系のインパルス応答g(t)が分かっているとき,入力x(t)に対する応答はとなる.この計算を畳み込み積分という.応答のLaplace変換はであり,Y(s)Laplace逆変換によって応答の時間関数y(t)を求めることができる.

step response[制御]:ステップ応答:動的システムに急に1の入力を与えたときの出力の応答(JISZ 8116-35).応答のLaplace変換はG(s)は系の伝達関数)であり,ステップ応答から伝達関数を求めることができる.またステップ応答は系の応答の速さや定常偏差がないかどうか調べるのに便利である.

indicial response[制御]:インデシャル応答:ステップ応答と同じ.

frequency response[制御]:周波数応答:ラプラス変換された系の伝達関数G(s)sjωに置き換えたもの.G(jω)は単位振幅のωの振動数の入力を与えたとき,出力の振幅が|G(jω)|,位相差がφ= tan-1{Im(G)/Re(G)}であることを表している.

frequency characteristics[制御]:周波数特性:周波数応答と同じ.

block diagram[制御]:ブロック線図:線形動的システムにおいて,要素の伝達関数をブロックで表し,入出力の信号を矢印付きの線でつないで系の特性を表現したもの.いくつかの微分方程式で系の特性を表現することもできるが,1入力1出力系ではブロック線図を描いて系の伝達関数を計算した方が分かりやすい.ブロック線図を作成するとき,受動的な要素がつながっているときは各要素のブロックを単純に信号線でつないではならない.要素の出力が何であろうと入力には影響を及ぼさないことがブロック線図を描ける条件である(はしご型の電気抵抗の出力電圧は別のはしご型抵抗をつけると変わってしまう).

state variable[制御]:状態変数:「系の状態を規定し得る変数」と定義されているが,別の表現をすればある時刻から始まる系の応答(出力も内部の状態も含む)を完全に知るために何の初期状態がわかっていればよいかを表す変数のこと.例えば1自由度ばねマス振動系ではマスの変位と速度の2変数が状態変数となり得る.この2変数の和と差を2状態変数とすることもできる.一般に階微分方程式で表される系は個の状態変数が状態を表すのに必要である.階微分方程式が個あれば状態変数はmn個である.

state equation[制御]:状態関数,状態方程式:系の動特性を状態変数ベクトルxで表現した式.制御変数ベクトルをuとすると一般には,ロボットの動力学系では,線形系ではと表される.状態方程式は力学系で言えば,力と運動の関係を示す式を1階微分の連立方程式に変換したものである.

output equation[制御]:出力方程式:系の特性を知りたいとき,状態変数xに関連した別の情報yしか得られないことがある.その関係式y=g(x)を出力方程式という.線形系ではy=Cxと表される.yは制御すべき目標のこともある.

state transition matrix[制御]:状態遷移行列:n次の線形系の状態方程式においてu=0のとき,初期条件x0から始まる運動はx=Φ(t)x0と表すことができる.このΦ(t)(n×n)を状態遷移行列という.Φ(t)はしばしばexp(At)と書かれる.またΦ(t)は1変数のときのインパルス応答と同じ様な性質を示しており,畳み込み積分が可能である.

state transition equation[制御]:状態遷移方程式:線形系の応答を状態遷移行列を使って任意制御関数u(t)に対する応答x(t)は畳み込み積分の形の式で表現できる.この式を状態遷移方程式という.

observable[制御]:可観測:出力方程式においてある時間にyを観測すれば状態変数xの全てがわかること.

controllable[制御]:可制御:任意の初期状態x0から任意の状態xfに有限の時間内に持っていくことができること.

characteristic equation[制御]:特性方程式:@正方行列の固有値を求めるための式.A1入力1出力線形制御系において伝達関数G(s)=P(s)/Q(s)の分母をQ(s)=0とおいて根(特性根)sを求める式.またラプラス変換した次の線形状態方程式sX(s)=AX(s)において|sI - A=0の根(特性根)sを求める式.

characteristic root[制御]:特性根:特性方程式の根.特性根を求めれば系の安定性,応答の速さなどが直接的に知ることができる.

open-loop transfer function[制御]:開ループ伝達関数(一巡伝達関数):1入力1出力系フィードバックループのどこか一端を切り離し,その切った2つの端を入出力端として伝達関数を表したもの(どこで切っても同じ).

 ボード線図,ナイキスト線図などはこの一巡伝達関数を元に安定性を論じている.

Nyquist criteria[制御]:ナイキストの安定判別:一巡伝達関数G(s)s=jωとおいてωを変化させ複素平面にG(jω)を画き(ナイキスト軌跡),点(-1, j0)の周りをどのように回転するかによって安定判別する方法.

Nyquist diagram[制御]:ナイキスト線図:一巡伝達関数G(jω)ωを変えて複素平面に曲線を画いたもの.安定判別や安定度の評価をするときに使われる.

Bode diagram[制御]:ボード線図:一巡伝達関数G(jω) ωを変えてゲイン|G(jω)|,位相∠G(jω)を表したもの.安定判別や制御系の設計に利用されている.

offset[制御]:オフセット:ステップ入力に対する定常偏差.

steady-state position error[制御]:定常位置偏差:ステップ入力に対して応答が究極に目標位置とずれた位置に留まるときその誤差をいう.フィードバック制御において出力端に一定負荷がかかっていたり固体摩擦があったりすると何らかの補償がない限り定常位置誤差が生じる.

steady-state velocity error[制御]:定常速度偏差:一定速度入力(ランプ入力)に対して応答が究極に目標速度とずれた一定速度で追従するときその速度誤差をいう.系の摩擦などが原因で生じる.

2nd-order (lag) system[制御]:2次遅れ系:伝達関数が1/(s2+as+b)で表される系.ばねマス系は2次遅れ系の1例である.4b>a2のとき(ばねが強いとき)系は振動的になる.

first-order (lag) system[制御]:1次遅れ系:伝達関数が1/(s+a)で表される系.補償のないモータの速度制御系はこの例である.多項式表現の伝達関数は実数の範囲内で1次遅れ系と2次遅れ系及びn次遅れ系1/snの線形和で表すことができる.すなわち1次・2次遅れ系の性質を知っていれば複雑な系も容易に特性を理解できる.

pole assignment[制御]:極配置:フィードバック制御系において特性根を望みの値になるようにゲインを決めること.

compensator[制御]:補償器:制御特性を改善するためにループの中に挿入する要素.典型的なものにPID補償がある.

PID compensation(proportional, integral, differential compensation)[制御]:PID補償:フィードバックループに比例要素Kp,微分要素Kvs,積分要素KI/sを挿入した補償器.微分要素は系の即応性を高め,積分要素は定常偏差をなくす効果がある.

observer[制御]:オブザーバ:状態方程式において状態変数xをフィードバック信号などに使いたいとき,xが直接に取り出せない場合がある.このとき可観測ならば系とは別の計算システムを作ってxを推定することができる.このシステムをオブザーバという.系のパラメータや外乱などが正しく知られていないとオブザ−バによる推定の信頼性が低くなる.

programmable controller[制御]:プログラマブルコントローラ:ロボットの運動順序を予めプログラムしておくことができる制御装置.

discrete data system[制御]:離散値系:とびとびの時刻(サンプル時間毎)に制御をする系.制御対象は連続系でも計算機などが制御ループに入っていれば離散系となる.サンプル周波数が系の固有振動数より十分大きければ連続系と同じと考えてよいが,そうでなければサンプル時間遅れの影響が出て特性が変わる.この特性はサンプル値制御理論によって扱われる.

sampled-data control, sampling control[制御]:サンプル値制御:間欠的な時刻に行う制御(JISZ8116-12).計算機制御はサンプル値制御である.制御対象が線形のときは1つのサンプル値xc(Tk)(k=0,1,2,..)に対する応答をx(T-Tk)とすると,全サンプル値の応答はその和x(Tn)=Σx(Tn-Tk) として表現できる.一定時間毎のサンプリング制御のときは線形系のサンプル値制御は,連続系のラプラス変換のように,z変換によって特性を論じることができる.

z-transform[制御]:z変換:x(t)X(z)=Σx(kT)z-k とする変換を変換という.

dead beat performance[制御]:デッドビート動作:オーバシュートなしにステップ入力に最も早く応答する動作.

Lyapunov function[制御]:リアプノフ関数:状態変数xのスカラ関数V(x)としてあらわしたもの.Vが例えば変位と速度の2乗の線形和で表されれば系のエネルギーを意味するが,これをもっと一般化したものと思えばよい.系の安定性を知る目的に利用される.(cf. リアプノフの第2の方法)

stability in the sense of Lyapunov[制御]:リアプノフの意味の安定:系の平衡点を状態変数で表して原点x=0としたとき,ある点から出発する状態が原点を囲む一定の領域から出ないことをいう.非線形問題においてよく見られる自励振動は制御理論から言えば不安定であるが,これはリアプノフの意味の安定である.

asymptotic stability[制御]:漸近安定:ある初期条件から始まる系の状態が時間と共に0に近づくことをいう.安定なフィードバック制御系は漸近安定である.

Lyapunov first method[制御]:リアプノフの第1の方法:非線形系の状態方程式=f(x)の平衡点(釣り合い点)の安定性を調べる1つの方法.平衡点回りの線形化式を求め,その線形化式の原点が安定ならば系の平衡点は安定,線形化式が不安定なら不安定とする安定判別法.具体的には線形化式に対応するリアプノフ関数を求める.その関数が時間と共に減少すれば平衡点の近傍は安定と言える.

Lyapunov second method[制御]:リアプノフの第2の方法:非線形系の安定判別とその領域を知る1つの方法.正定値のリアプノフ関数V(x)を適当に決め,系の状態関数を使ってdV/dtを求め,それが負なら漸近安定であることが言える.更にdV/dt<0である領域を求めることができ,少なくともその領域で安定であると言える.この安定判別法をリアプノフの第2の方法という.問題はこのようなリアプノフ関数を見つけることである.あるV(x)について安定な領域が見つかってもそれは真の安定領域の一部を示すに過ぎないことに注意すべきである.

equilibrium point[制御]:平衡点:系が微分方程式の形でg(d/dt, x)+f(x)=0表されるとき,微分項dx/dt, d2x/dt2,・・・・..が全て0ならf(x)=0となる.これを満足するxを平衡点という.また系が状態関数dx/dt=f(x)の形で表されるとき,f(x)=0を満足するxを平衡点という.剛体振子で言えば真下が安定な平衡点,真上が不安定な平衡点である.

under-actuated system[制御]:アンダーアクチュエーテドシステム(仮訳):運動の自由度より少ない数のアクチュエータで運動制御するシステム.車輪式移動ロボットは2駆動で平面上の位置姿勢の3自由度を制御しているこのシステムの例である.

hybrid control[制御]:ハイブリッド制御:例えばある方向に位置制御,別の方向に力制御するというように異種の制御を同時に行う制御方法.

joint servo[制御]:関節サーボ:ロボットアームの関節変位毎に独立に関節変位・力のフィードバック制御をする制御法.他の関節が変化すると系の特性が変わることを考慮していないので,厳密には即応性や安定度が一定でないが,産業用ロボットでは大減速比の減速機を使っていてアームの動力学特性の関節駆動モータへの影響が小さいので関節サーボが有効である.

task coordinates servo[制御]:作業座標サーボ:作業座標系で位置・力のフィードバック制御する方法.計測された関節変位qから順運動学式r=f(q)によって位置rを計算し,rに関するフィードバック制御系を構成し,q=f-1(r)の逆変換によって関節に与える制御量を決める.の変換をすれば分解速度制御,分解加速度制御となる.

unilateral servo[制御]ユニラテラルサーボ:マスタスレーブマニピュレータにおいて,マスタからスレーブへ一方的に信号を送り,逆の情報の流れのないタイプ.

bilateral servo[制御]:バイラテラルサーボ:マスタスレーブマニピュレータにおいて,マスタとスレーブ間に双方に信号をやりとりするタイプ.信号には位置,力などがある.

supervisory control[制御]:管理制御,監視制御:@ロボットの操縦においてロボット(スレーブ側)は独自の制御系を持ち操作者は動作おり上位の指令を与えたり監視したりできるシステム.A制御対象(例えばロボット・ロボット群)をいくつかのユニットに分けそれぞれを制御するシステムがあり,その上位にユニットの全てを監視しながらそれぞれに指令を与える階層構造の制御システム.

manual control[制御]:手動制御:操縦ロボットを手動で動かすこと.マスタスレーブマニピュレータはその1種.

automatic control[制御]:自動制御

generalized bilateral control[制御]:一般化バイラテラル制御:異構造マスタスレーブマニピュレータにおいて,マスタの情報とスレーブが受け取る情報とは1対1に対応しないので,変換が必要である.この異なる情報をやりとりする制御系を一般化バイラテラル制御と言う.

generalized information feedback[制御]:一般化情報フィードバック:電算機支援遠隔作業システムにおいて,実環境からは得られない情報を計算機シミュレーションによって作りだし操作者に提示するシステム.

dynamic control, computed torque method[制御]:動的制御:ロボットアームの制御において,単に線形のPID制御だけでなく,ロボットアームの動的効果(慣性項・コリオリ項・重力項など)も考慮して制御する方法.フィードフォワード制御はその例である.

decoupling control[制御]:非干渉制御:一般に多変数制御では各制御変数は干渉する(互いに影響し合う)が,適当な線形変換をすれば非干渉とすることができる.ロボットアームの場合は,関節変位を作業座標系の位置に変換して各座標系で独立にサーボ系を構成することができる.これを非干渉制御という.

spillover[制御]:スピルオーバ:振動制御において,アームの撓み振動のような固有振動数が無限に存在するとき,n次モードまでを考慮して制御するとそれ以上のモードの影響が出て振動抑制が損なわれる.この影響を制御スピルオーバと言う.観測をn次モードで打ち切って制御するときも影響が出る.これを観測スピルオーバと言う.

self-tuning (adaptive) control[制御]:セルフチューニング(適応)制御:ロボットの制御において,ロボットパラメータを逐次推定して制御系のパラメータをオンラインで決めていく制御法.

objective function, performance function, criterion function[制御]:目的関数,評価関数:最適制御において,エネルギー,経過時間,誤差など最大または最小にしたい目標値.

robust[制御]:ロバストな,頑丈な:系の特性が多少の外乱やパラメータの変動があっても量的にわずか変わるだけで質的に元の特性が保たれるように余裕があること.

stability margin[制御]:安定余有:線形制御系において,安定判別の式が不安定になるまでフィードバックゲインなどがどれだけ大きくすることができるか,その安定度のこと.ボード線図のゲイン余有,位相余有などで判断できる.ゲイン余有は1020dB,位相余有は40゜〜60゜がよいと言われている.

sensory control[制御]:センサ制御,感覚制御:センサ情報による制御(JISB0134-5019)

sensor feedback control[制御]:センサフィードバック制御

sensory adaptive control[制御]:センサ適応制御:センサ情報によって外界の変化に対応した制御系を構成する手法.

sensor sequence control[制御]:センサシーケンス制御:センサ情報によってロボットの動作手順を逐次変えていく制御.

hand-eye system[画像・制御]:ハンドアイシステム:視覚情報をフィードバックしてロボットを制御するシステム(JISB0134-5023)

tactile control[制御]:触覚制御:触覚による情報を用いて制御すること.

Fuzzy control[制御]:ファジー制御:ファジー推論によってフィードバック量を決め,あるいは動作を決める制御法.

reactive control[制御]:反応的制御:外界の状況変化に対して反射的に反応する制御.階層制御システムでは下層レベルで処理する制御で,人間で言えば条件反射である.

subsumption architecture[制御]:包含アーキテクチャ:知能ロボットが外界の状況から行動を決定するとき知覚→モデル化→計画→タスク→モータ制御の順序構成でなく,必要なプロセスを階層的構成とするシステム.これによって反応的制御が容易にできる.

 

 

 

             [移動ロボット]

 

omnidirectional vehicle(ODV)[移動]:全方向車両:車輪式移動ロボットにおいて,どの方向にも進むことができるような機構を持っているもの.一般的な車輪式移動機構は自動車のように横には動けないが,ODVはそれができる.

isotropic rolling robot[移動]:均質転がり移動ロボット:

articulated body mobile robot[移動]:節体幹移動ロボット:直列多関節を持ち蛇のように動く移動ロボット.

automated guided vehicle(AGV)[移動]:無人誘導車両:外界センサによって自動的に誘導される移動ロボット.

autonomous land vehicle(ALV)[移動]:ALV,自律移動車:自律的な移動車.

wheeled type mobile robot[移動]:車輪式移動機構:移動ロボット機構の1種.キャタピラ式や脚式と比較して,機構が簡単,制御が簡単,エネルギー効率がよい等の特徴がある.反面,段差を乗り越えることができないという短所がある.

steering[移動]:操舵,ステアリング

crawler, tracked vehicle[移動]:クローラ式移動車両:移動ロボット機構の1種.戦車のようにキャタピラを持つ移動ロボット.不整地移動に適している.接地面が大きいので旋回するとき大きな力が必要で,地面を傷つけやすくエネルギー効率は悪い.

crawler belt[移動]:履帯,キャタピラ

ground pressure[移動]:接地面圧:キャタピラの面圧.

legged robot[移動]:脚式ロボット:移動ロボット機構の1種.階段昇降も溝またぎ越えもでき,3種の移動機構の内で最も対地適応性がよい.反面,エネルギー効率は最も悪く,安定に移動する制御が難しい.1、2,3,4,6脚,ムカデのような多脚などが製作された例があるが,実用的には2,4,6脚である.

walking robot[移動]:歩行ロボット:脚式ロボットと同じ.

walking machine[移動]:歩行機械:脚式ロボットと同じ.

leg-wheel robot[移動]:脚車輪型(移動)ロボット:車輪と脚を併用した移動ロボット.脚の先に車輪を付けたタイプと脚と車輪を別々に取り付けたタイプがある.走行性・対地適応性の両方に優れている.

attack angle[移動]:迎え角:クローラ式移動ロボットのキャタピラ前面は段差を登れるように傾きがついているがその傾き角.

departure angle[移動]:背離角:クローラ式移動ロボットのキャタピラ後面の傾き角.

biped locomotion robot[移動]:2脚(2足)歩行ロボット:4脚,6脚と較べると安定歩行の制御が最も難しい.人間型なので移動機構として親和性が最もよい.人間並みに歩くロボットの開発にASIMOが先鞭をつけた.2脚のホッピングロボットの研究例がある.

biped locomotion[移動]:2脚(2足)歩行

quadruped walking machine, four-legged walking machine[移動]:4脚(4足)歩行ロボット,4脚(4足)歩行機械:2脚より安定歩行が容易である.前後進・旋回ができるためには,特殊な機構を除いて1脚当たり3自由度が必要である.静歩行の技術はあるが,動歩行はまだできていない.4脚のホッピングロボットの研究例がある.

hexapod walking machine, six-legged walking machine[移動]:6脚(6足)歩行ロボット,6脚(6足)歩行機械:2,4脚より安定歩行がより容易である.特殊な機構を除いて3自由度×6脚=18自由度が必要である.まだ動歩行はできていない.

multi-legged robot[移動]:多脚ロボット,多足ロボット:ムカデのような多数の脚を持つロボット.多脚歩行機械が製作された例がある.

hopping robot[移動]:ホッピングロボット:脚の伸縮と腰関節によってホッピングしながら移動する機構の特殊な脚式移動ロボット.1脚,2脚,4脚が製作された例がある.

sagittal plane[移動]:矢状面:2脚歩行ロボットの座標系の取り方で,2脚の前方と上方を含む面.

lateral plane, frontal plane[移動]:前頭面:2脚歩行ロボットの座標系の取り方で,2脚の左右方向と上方を含む面.

hip joint[移動]:腰関節

knee joint[移動]:膝関節

ankle joint[移動]:足首関節

foot[移動]:足

sole[移動]:足底

supporting phase[移動]:支持相,立脚相:2脚歩行ロボットの1脚の動作中で脚が接地して体重を支えている状態.

swinging phase, transfer phase, lifted phase[移動]:復帰相,遊脚相:2脚歩行ロボットの1脚の動作で脚を持ち上げて進む方向へ動かしている状態.

rough terrain[移動]:荒れ地,不整地

static walk[移動]:静歩行:歩行中にロボット全体の重心が支持している足の上にくるような歩き方.

dynamic walk[移動]:動歩行:歩行中にロボット全体の重心が必ずしも支持している足の上にないような歩き方.ZMP型の動歩行と速歩や走行時の完全に不安定な状態が存在する動歩行がある.人間や4つ足動物は後者の動歩行をしている.後者の動歩行の理論解析は多数あるが実験例はまだない.

ZMP(zero moment point)[移動]:ZMP(ゼロモーメントポイント):2脚歩行ロボットの動歩行において,重力・慣性力・床からの反力を考慮してロボットが倒れようとするモーメント(垂直軸回り以外のモーメント)=0となる点.この点が2脚の足底または多脚の支持脚多角形の中にあれば倒れない.静歩行では慣性力がないときのZMPが支持脚多角形内にあれば安定であり,これは重心が多角形内にあることを意味する.

specific resistance[移動]:移動仕事率:移動ロボットの移動性能を表す1つの指標で,移動仕事率=移動エネルギー/移動距離/体重.車輪式>キャタピラ式>4脚>2脚>(芋虫の)匍匐>ヘビ式の順に効率が悪い.

single support phase[移動]:単脚支持期:2脚歩行ロボットの歩行周期の中で1脚だけが接地している期間.

double support phase[移動]:両脚支持期:2脚歩行ロボットの歩行周期の中で2脚が接地している期間.

support polygon[移動]:支持多角形:多脚歩行ロボットの接地している脚の接地点が作る多角形.重心がこの中にあれば静的安定である.

stability margin[移動]:安定余裕:多脚ロボットの静的歩行の安定の度合いを示す量で,脚の接地点が作る多角形(支持脚多角形)内に重心があるとき,重心点から辺までの最短距離.または歩行1周期の間の最短距離の最小値(=歩容の安定余裕).

longitudinal stability margin[移動]:縦安定余裕:静歩行において,重心の描く軌跡上でとった安定余裕.

stride[移動]:ストライド:脚式ロボットの歩行の1周期.

stride length[移動]:ストライドの幅:脚式ロボットの歩行1周期中に移動する距離.

gait[移動]:歩容:脚式ロボットの歩き方.脚を動かす順序と時間的変化.

leg phase[移動]:脚位相:脚式ロボットの周期的な歩行において,ある脚の接地時期を基準として各脚が接地するまでの時間(1周期=1)を脚位相という.

duty factor[移動]:デューティ比:脚式ロボットの周期的な歩行において,1周期に対する脚の接地している時間の比.

regular gait[移動]:レギュラー歩容:脚式ロボットの周期的な歩行で,全ての脚が同じデューティ比を持つ歩き方.すなわちどの脚も接地時間と遊脚時間の比が等しい歩き方.

creep gait[移動]:クリープ歩容:4脚歩行ロボットの4脚のうち1つだけが遊脚(宙に浮いている)歩き方.動物の遅い歩行に見られる.

symmetric gait[移動]:対称歩容:4脚歩行ロボットの左右の組の脚が逆位相で動く歩き方.クリープ歩容,トロットなどは対称歩容の1つ.

crab gait[移動]:側行歩容:脚式ロボットの胴体方向と進行方向が一致しない歩き方.蟹の歩き方はその歩容に含まれる.

crab angle[移動]:側行角:脚式ロボットの側行歩容の胴体と進行方向のなす角.蟹の側行角は90゜である.

standard gait[移動]:基準歩容:脚式ロボットの平坦地における効率と安定性のよい歩き方.

free gait[移動]:適応歩容:脚式ロボットの荒地に適応した非定常な歩き方.

wave gait[移動]:波状歩容:脚式ロボットの前方に波が伝播するように脚を送る歩き方.

circular gait[移動]旋回歩容:脚式ロボットの体の重心が円運動する旋回歩行.

posture transformation gait[移動]:踏換え歩容:脚式ロボットのある脚の立っている状態から別の立っている状態へ移す歩き方.

standing posture transformation gait[移動]:静止踏換え歩容:脚式ロボットの体の重心と姿勢を変えない踏換え歩容.

terrain following gait[移動]:地形追従歩容:脚式ロボットが地形の凹凸に応じて体の姿勢を変える歩き方.

turn-in-place[移動]:その場旋回:移動ロボットの体の代表点回りに旋回すること.

side-step[移動]:横行:脚式ロボットの体の向きを変えずに横歩きすること.

crawl gait[移動]:クロール歩容:4脚歩行ロボットで3脚が接地して1脚が持ち上げ接地する動作を順次行って移動する歩き方.そのパターンは数多くある.

follow-the-leader[移動]:前脚追従:多脚ロボットの前の脚の接地点へ後の脚が接地する歩き方.

ample[移動]: アンプル:4脚歩行で3脚が接地している期間があり,左前−右後−右前−左後の順に脚を上げる歩き方.比較的ゆっくりした動物の歩き方.

trot[移動]:トロット:4脚歩行で対角線上の2脚が組になって交互に接地する歩き方.人間の腕を前脚としたときの人間の歩き方.小型動物や多くの動物の中速はこの歩き方である.

pace[移動]:ペース:4脚歩行で左右の2脚が組になって交互に接地する非対称な歩き方.ラクダの早い歩き方はこれである.

center[移動]:センタ:4脚歩行で対角線上の2脚が少し位相ずれを持って接地する歩き方.

gallop[移動]:ギャロップ:4脚歩行で前2脚−後2脚の接地の順であるが左右の接地は少し位相がずれている早い走り方.

bound(bounce)[移動]:バウンド(バウンス):4脚歩行で前2脚−後2脚の順に左右同時に接地する早い走り方.

bronk[移動]:ブロンク:4脚歩行で4脚同時に持ち上げ接地を繰り返す早い走り方.

ideal legged locomotion machine[移動]:理想脚移動機械:理想化した脚式移動機構で,脚は重量がなくどこにも接地できると仮定している.安定歩行の基礎的解析のために考えられたもの.

moving platform[移動]:移動搬送車

lifting[移動]:(脚の)持ち上げ,離陸

placing[移動]:(脚の)接地

soft landing[移動]:軟着陸,ソフトランディング:脚が速度0で着地すること.

navigation[移動・制御]:誘導制御,航行制御,ナビゲーション:移動ロボットの軌道制御.ロボットの位置姿勢は内界センサ(デッドレコニング)と外界センサによる方法があるが,移動の累積誤差による軌道ずれを修正するには外界センサが不可欠である.

cruise[移動]:巡航

attitude control[移動]:(移動ロボットの)姿勢制御

stair-climbing[移動]:階段登降

on-wall locomotion[移動]:壁面移動

global path planning[移動]:大域的経路計画:移動ロボットが動き得る自由空間で視点から目標地に到る径路を生成すること.

dead reckoning[移動]:デッドレコニング:車輪の回転量ステアリングの角度などから移動ロボットの移動量と姿勢変化を知ること.

findpath problem[情報・移動]:経路探索問題:ロボットアームや移動ロボットが障害物のある環境でどのように目標に到達するかその径路を探す問題.移動ロボットの2次元問題ではポテンシアル場法,ボロノイ図式法などがある.

potential field method[運動・移動]:ポテンシアル場法:ロボットの経路探査の1つの方法.障害物の距離に反比例するポテンシアル場を想定し,その場に応じた反発力を受けるかのようにロボットの回避運動をさせる.

Voronoi diagram[移動]:ボロノイ図式:障害物がある環境で,始点AからオアシスO1O2,・・・・,Onの中の最も近いオアシスに到る経路をどう見付けるかの問題で,「この範囲ではOiに最も近い」という領域を描いた地図を作りAが属する領域がどれかによって最も近いオアシスが容易にわかる.この図をボロノイ図式と言う.効率的に最短オアシスを見出すことができる.

clothoid curve[移動]:クロソイド曲線:スムースに旋回する軌道の1つ.直線と円弧のつなぎ合わせでは曲率が不連続になり急なステアリングが必要でかつ高速では遠心力が急に変わるので好ましくないが,クロソイド曲線では曲率が軌道に沿って0から直線的に変化し滑らかに動く.高速道路の曲線部はクロソイド曲線になっている.

inertial navigation system[移動]:慣性航法システム:慣性センサを用いて自分の位置を知り運動を制御するシステム.慣性センサとは加速度計,ジャイロスコープなどの慣性力を利用して速度や加速度を計測するセンサのこと.

landmark[移動]:ランドマーク:ロボットが外界を認識するために利用する標識.これは認識しやすいマークを周囲に張り付けた人工的なものと,外界の特徴ある物体・部分を利用するものとがある.

 

 

 

 

         [センサ]

 

sensor[センサ]:センサ:物理的な情報を電気信号に変換する素子(JISB0134-2070)

internal sensor[センサ]:内界センサ:ロボットの内部の状態を知るためのセンサ.例えば関節角変位を測るエンコーダ,速度を測るタコジェネなどがこれに相当する.

external sensor[センサ]:外界センサ:外界の状態を知るためのセンサ.視覚センサ,方位センサ,近接センサ,触覚センサなどがある.

intelligent sensor[センサ]:知能センサ:信号処理回路を一体にしたセンサ.

smart sensor[センサ]:スマートセンサ:知能センサと同じ.

sensor fusion[センサ]:センサ融合:異なる複数のセンサを組み合わせたもの.単体では得られないか得るのが難しい対象の情報を得ることができる.例えばカメラと超音波センサを併用すると対象の3次元距離情報を精度良く得ることができる.

passive sensor[センサ]:受動センサ:対象物からの画像や音などを捕らえて知るセンサ.

active sensor[センサ]:能動センサ:音や光・電波,そのパターンなどを投射して対象物の情報を得るセンサ.

active sensing[センサ・画像]:アクティブセンシング:@センサ側から光・超音波などを照射し,その反射信号を捕らえて対称物の情報を得る方法.またはセンサ側が動いて複数の情報から対象物の情報を得る方法.A目的に応じてセンシングの方法を変えたり情報収集プロセスを変えたりすること.

passive sensing[センサ・画像]:パシブセンシング:センサ側が自然の状態の対象を見たり聞いたりして対象の情報を得る方法.

intentional sensing[センサ]:意図的センシング:事前情報の基にセンサ融合を含めてどのようにセンシングしどのように得られた情報を利用するかを予め決定してセンシングすること.

somatic information[センサ]:体感情報:人間の触覚・関節運動覚・温覚などの体感から得られる情報.

potentiometer[センサ]:ポテンシオメータ:回転角変位を電気量に変換するもので,ラジオのボリュームの精度のよいものに相当する.

resolver[センサ]:レゾルバ:回転角変位を電気量に変換するもので,2相の交流モータと同じ構造をしている.

encoder; incremental -, absolute -[センサ]:(インクレメンタル,アブソリュート)エンコーダ:回転・直動の動きの量をパルスや矩形波の数に変換し,その波の数をカウントして移動量を知るセンサ.初期位置からの相対移動量を測るエンコーダをインクレメンタルエンコーダ,初期位置に関係なく絶対位置を知ることができるエンコ−ダをアブソリュートエンコーダという.

encoder; optical -, magnetic -[センサ]:(光学式,磁気式)エンコーダ:光のON-OFFによって矩形波を作り出すタイプを光学式,NSの磁気変化のよって作り出すタイプを磁気式エンコーダという.

encoder; linear -, rotary -[センサ]:(リニア,ロータリ)エンコーダ:直動移動量,回転量を測るエンコーダ.

articulation sensor[センサ]:関節角センサ:関節の外に装着して回転関節の回転角を測るセンサ.

goniometer[センサ]:ゴニオメータ:人体計測のための関節角センサ

tachometer generator[センサ]:タコメータ,タコメータ・ジェネレータ,タコジェネ:回転角速度に比例する電圧を得るセンサで直流発電機と同じものである.

strain gauge[センサ]:歪ゲージ,ストレインゲージ:対象物に張り付けてその対象物の歪を知り,歪みを換算して対象物に加わる力(モーメント)を知るセンサ要素で,金属フォイルと半導体歪みゲージがある.前者のゲージファクタが約2に対し,後者のそれは100以上で,感度がよいという長所があるが温度によるゲージファクタの変動が大きいという欠点もある.

vibrometer[センサ]:振動計:振動を計測する装置で,変位振動,速度振動,加速度振動を計測するそれぞれのタイプがある.

accelerometer[センサ]:加速度計:加速度を計測する装置.振り子式は重力加速度のような一定加速度を測れるが固有振動数以上の早い変化の加速度は測れない.PZT式は数100kHzの加速度振動を測れるが数Hz以下のゆっくりした加速度は測れない.

inclination sensor[センサ]:傾斜角センサ:垂直軸からの傾きを知るセンサ.振り子式,ジャイロ式がある.

azimuth meter[センサ]:方位角センサ:常に北を指す装置(磁針・ジャイロ)があり,それからのずれを測って方位を知るセンサ.ジャイロコンパスは地球の回転を利用して方位を知るので,真北からのずれが正確に測れる.

gyroscope[センサ]:ジャイロスコープ(ジャイロ):機械式では回転するロータの軸が一定を保とうとする性質を利用して回転の変位・速度を測る装置.地球の回転速度を測れる高感度のジャイロがある.光学式,レーザ式もある.

gyroscope; rate -, integration -, directional -, vertical -, free -, [センサ]:レート,積分,方向,垂直,フリー,ジャイロ

gyroscope; gas rate -, optical fiber --, ring laser -[センサ]:ガスレート,光ファイバー,リングレーザ,ジャイロ

geomagnetic sensor[センサ]:地磁気センサ:地磁気を利用して方位角を知るセンサ.磁気コンパス.

haptics[センサ]:触覚学:触覚を基にした物体の位置・姿勢・形状認識,あるいは材質・硬さ表面・状態の認識,その認識による把握操りの制御などを包括的に研究する学問分野.

touch sensor, tactile sensor[センサ]:接触覚センサ:接触しているかどうかを知るセンサ(rf. JISB 0134-2072)

image tactile sensor, distributed tactile sensor[センサ]:分布型触覚センサ:触覚が面に分布しているセンサ.いろいろなタイプの分布型触覚センサが開発されているが,指先に装着できるものはまだできていない.

contact force sensor[センサ]:圧覚センサ:接触の力を知るセンサ(rf. JISB0134-2073)

slip sensor[センサ]:滑り覚センサ:接触の滑りを知るセンサ(rf. JISB0134-2074)

force sensor[センサ]力覚センサ:力(モーメント)を知るセンサ(rf. JISB0134-2075).手首に装着してハンド(エンドエフェクタ)に加わる力(モーメント)を知る装置が実用化されている.

6-axial force sensor[センサ]:6軸センサ:力3成分とモーメント3成分を計測できるセンサ.

proximity sensor[センサ]:近接覚センサ:近くにものがあるかどうか,あるいはその間隔を知るセンサ(rf. JISB0134-2078).赤外線や超音波を利用したセンサがある.

range sensor, range finder[センサ]:距離センサ,レンジファインダ:対象までの距離を知るセンサ.超音波,光の往復時間から測る方法がある.

ERIM sensor[センサ]:ERIMセンサEnvironmental Research Institute of Michiganの略で,平面的にスキャニングしたレーザ光を対象物に当てその往復時間から対称点までの距離を測り,3次元画像を得るセンサ.256×64pixel0.5秒で得ると言う.

vision sensor, visual sensor[センサ・画像]:視覚センサ:光学的に外界の状態や物体を知るセンサ(JISB0134-2076)CCDカメラ,ラインセンサ,PSDなどがある

acoustic sensor[センサ]:音響センサ,聴覚センサ:音響情報を検知するセンサ(rf. JISB0134-2977)

ultrasonic sensor[センサ]:超音波センサ:数10kHz100kHzのパルス状の超音波を発信し,対象物からの反射音を受信するまでの時間を測って距離を求める距離センサ.指向性が鋭いので送受信器を向けた方向の対象物までの距離がわかり.その精度は数mmからゼロクロス法によれば10分の数mmを得ることができる.またスキャニングすれば簡単形状の位置姿勢を知ることができる.(音響計測で1/2波長以下の対象物が認識できない,1/2波長以下の精度は得られない,などというのは誤りである)

ultrasonic array sensor[センサ]:超音波アレイセンサ:小さな超音波受信器を縦横に並べて発信器から出した超音波の各受信器までの往復時間と振幅から対象物体の3次元画像を得るセンサ.

ultrared sensor[センサ]:赤外線センサ:赤外線を利用した光学式センサの1種で,近接覚センサや物体検知などによく使われる.

sensor; optical -, mechanical -, resistance -, semiconductor -, electrostatic -, capacitance -, hydraulic -,

 bio-, magnetic -, liquid -[センサ]:光学式,機械式,(電気)抵抗式,半導体,静電,静電容量式.流体,生体,磁気式,流体,各センサ

distributed(matrix type, array) contact force sensor[センサ]:分布型(マトリクス型)圧覚センサ:面に圧覚素子を並べたセンサ.センサの背面に信号処理回路を一体にして知能センサとした例がある.

triangulation[センサ]:3角測量法:2点の位置A,Bから対象点Pを見てその角度から対象点の位置を計算する(2角挟辺)方法.Pが遠いと90゜に近い角度になり,精度が急速に悪くなる.

time of flight method[センサ]:飛行時間測定法:信号(音・光など)を対象物に当て,信号が往復する時間を測って対象物までの距離を求める距離センサの1種.

GPS(global positioning system)[センサ]:GPS:数個の衛星からの電波信号を受け取ってその時間差から地上の位置を知る装置.誤差が大きいので狭い範囲を移動するロボットのナビゲーションにはまだ適しない.DGPSならば誤差数mと言われているので場合によっては使える.

threshold[センサ]:敷居値:信号を2値化するとき,あるいは信号の有無を知るときの境目の値.

zero-cross method[センサ]:ゼロクロス法:超音波の反射音を受け取るまでの時間を測るとき,一定の敷居値に対して弱い音と強い音とでは敷居値を切るまでの時間が異なり,正確に受信時間を決められない.ゼロクロス法は敷居値を切る時刻から遡って音の波の0点を求め,0点までの時間を受信時間とする方法で,これによると精度が10倍よくなる.

electro-conductive rubber[センサ]:導電性ゴム:圧力がかかると電気抵抗が小さくなるゴムで,感圧センサに利用される.シート状にして導線を表面にX方向,裏面にY方向に張り巡らせば分布圧力が検知できる.圧力がかかると急速に抵抗が減る非線形性を示すので圧力の大きさを正確に測るのは難しい.

taste sensor[センサ]:味センサ

smell sensor[センサ]:臭いセンサ

swing, tilt, pan[センサ]:傾き角

effector sensor[センサ]:効果器センサ:触覚・力覚・圧覚・近接覚など効果器まわりに装着したセンサ.

tactile recognition[センサ]:触覚認識:接触・圧力・滑りなどを検知して対象の位置・姿勢・形状などを認識すること.

whisker sensor[センサ]:触角センサ:針金状の,昆虫の触角のように触って物体の有無を知るセンサ.

calibration[センサ]:較正:センサの計測誤差を修正すること.

corner cube[センサ]:コーナキューブ:特殊な反射鏡で,入射するビームの方向に光が反射する.光源をロボットに設置して位置が既知のコーナキューブに光を当てると反射光をその方向から受け取り、ロボットの位置(方位)を知ることができる.

 

                [画像]

 

[画像計測]測そくく

 

vision sensor[センサ・画像]:視覚センサ:光学的に外界の状態や物体を知るセンサ(JISB0134-2076)CCDカメラ,ラインセンサ,PSDなどがある

photometric system[画像]:光学的計測法

astigmatism[画像]:非点収差:レンズ系の歪みにより像が歪むこと.これを逆用して像の歪みが距離によって変わることを利用して3次元の画像計測を可能にした例がある.

CCD(charge coupled device) camera[画像]:CCDカメラ:数10万のピクセル(画素)を持ち,各ピクセルで明るさに対応した電荷を生じる.その電荷を順次転送して画像情報を取り出すデバイス.通常は30駒/秒であるが高速CCDもある.

TV camera[画像]:TVカメラ

PSD(position sensitive device)[画像]PSD,半導体位置検出素子外界の光点を平面の光学センサに写し,その面上の位置から光点の位置を知るためのセンサ.カメラと違って(x,y)に比例した電圧が出力される.

segmented photo sensor[センサ・画像]:分割型フォトセンサ:分割したフォトセンサで,2分割ならば左右の光量差によって対象光の移動がわかる.

swing, tilt, pan[画像]:スイング,ティルト,パン角:カメラ雲台の3軸回りの傾き角.

robot vision[画像]:ロボットビジョン:ロボットが持っている視覚システム.

machine vision[画像]:マシンビジョン:機械・装置が持っている視覚システム.

line sensor[画像]:ラインセンサ:1次元のCCDカメラ.

active sensing[センサ・画像]:アクティブセンシング:センサ側から光・超音波などを照射し,その反射信号を捕らえて対称物の情報を得る方法.あるいはセンサ側が動いて複数の情報から対象物の情報を得る方法.

passive sensing[センサ・画像]:パシブセンシング:センサ側が自然の状態の対象を見たり聞いたりして対象の情報を得る方法.

monocular vision[画像]:単眼視

binocular stereo vision[画像]:両眼視

triocular vision[画像]:3眼視:2眼による立体視より3次元画像計測の精度が上がる.

convergence[画像]:輻輳

movement parallax[画像]:運動視差

visual motion[画像]:運動視覚:視覚によって知覚された物体の運動.

motion stereo[画像]:モーションステレオ:カメラを動かして両眼視と同じ効果を得る方法.少しづつ動かせば各画面の対応点の特定が容易である.

pattern projection method[画像]:パターン投影法::パターンを対象に投光してその見え方から対象物の形状・位置・姿勢を知る方法.パターンにはスポット光,スリット光,テクスチュア,コード化パターンなどいろいろある.

spot projection method[画像]:スポット光投影法:点光を対象物に当てカメラ上の撮影点から三角測量によって点の位置を知る方法.点を上下左右にスキャニングすれば対象物の形状位置姿勢を認識できる.

structured light method[画像]:光切断法:スリット光を対象物に当てるとスリット光は折れ曲がり直線や曲線に見える.そのスリット光を動かすと形状により見え方が変わる.その変化から対象物の3次元の位置形状を知る方法.

slit projection method[画像]:スリット光投影法:光切断法と同じ。

grid projection method[画像]:格子投影法:格子縞の光を投影すると対象物の形状によって縞の見え方が変わる.その模様から対象物の形状を知る方法.

Moire topography[画像]:モアレ法:縞状の光を投影し縞マスクを通して撮影すると,モアレ縞という縞模様が得られ,その縞模様のパターンによって対象物の形状を知る方法.

laser radar[画像]:レーザレーダ:レーザ光を投射し反射光を受け取るまでの時間から対象物までの距離を測る距離計測法.

・平面輻輳法

 

・[画像表示]

 

pixel, picture element, lattice point[画像]:ピクセル,画素,格子点:画像面のデジタル化した点.各画素で濃淡レベル(明るさ,画素値)を持ち,3原色に分解されたカラー情報を持つものもある.(rf. CCD camera)

depth map[画像]:距離画像:コンピュータビジョンにおいて3次元距離を表す画像.

range image[画像]:距離画像:対象物表面の3次元の距離分布.普通のカメラでは2次元しかわからないが,ステレオ画像・レーザレーダ法などで距離画像を得るいくつかの手法がある.

wire frame model[画像]:ワイヤフレームモデル:コンピュータ画像表示において,物体を稜線や頂点だけで表す線画.隠れた部分も透けて見える.

surface model[画像]:サーフェスモデル,面モデル:コンピュータ画像表示において,物体を面の集まりで表したもの.隠れた部分は見えないが,曲面の場合は面を多数に区分して平面を張るか2次曲面などで表さなければならない.

solid model[画像]:ソリッドモデル立体モデル:コンピュータ画像表示において,物体を立体で表したもの.完全な形状モデルが得られる.モデリングと利用システムは高度なソフトウエア技術が要求される.

line drawing[画像]:線画:多面体の境界線からなる画像を描くこと.物体認識(コンピュータビジョン)では生の画像から先ず線画を抽出する事から始まり,線画のつながりから物体形状・位置姿勢を推論する.

normal vector map[画像]:法線マップ:3次元形状表現の1つで,物体表面の1点の法線ベクトル値をそのピクセルの値とする.この法線ベクトルを積分すれば形状が再現できる.物体の表面全体の法線ベクトルのヒストグラムを拡張ガウス像(extended Gaussian image)と言い,形状表現の1つとして利用される.

generalized cylinder[画像]:一般円筒:中心軸に沿って断面が連続的に変化する立体を一般円筒と言う.複雑な3次元物体を一般円筒の組み合わせで表現するのに便利である.

solid data structure[画像・情報]:立体データ表現:立体モデルのデータ構造のこと.CSG(constructive solid geometry)表現と境界表現(B-Rep, boundary representations)がある.

boundary model[画像・情報]:境界モデル:立体モデルを頂点・稜・面などの境界に関する情報により表現するもの.

constructive model[画像・情報]:CSGモデル:立体を直方体・円筒などの基本形状要素を結合して表現するもの.

shading model[画像]:陰影モデル:3次元物体を光源・視点によって決まる陰影をつけて表示するそのモデル.不透明物体のモデルと透明・半透明物体のモデルがある.また物体の影(shadow)をつけるモデルもある.

reflection model, reflectance model[画像]:反射モデル:陰影モデルの1つで,鏡面反射(視点によって変わる)と拡散反射(視点によらない)があり,視点から見た明るさを3次元物体表面で表示する.鏡面反射では周囲の状態も映し出される.

ray tracing algorithm[画像]:光線追跡法:透明(半透明)物体が存在する3次元対象群を画像表示する手法で,画像上の1点に入る透過屈折して通り過ぎる物体の反射光の全てを加算したものをその点の明るさとする方法.

teleexistence, telepresence[画像・応用]:テレエグジステンス,遠隔臨場システム:遠隔の環境を視覚・聴覚・触覚などを通じて提示し,操作者に臨場感を与えること.立体視には2つの画像を眼鏡をかけて左右画像として見分ける方法と眼鏡なしで見分ける方法がある.また左右を見渡すと画像が移る能動立体ディスプレイがある.

artificial reality, virtual reality[画像・応用]:人工現実感:遠隔の状況を3次元表示装置やステレオ音響装置などを使って擬似的に得られる臨場感のこと.

multi-media display[画像]:マルチメディアディスプレイ:カメラ映像・3次元グラフィックスなどの画像をマルチウィンドーで表示するディスプレイ装置.

head mounted display(HMD)[画像]:頭部装着ディスプレイ,HMD:頭に装着して両眼に画像を写し出し立体感を与え,また頭を回すと画像もその方向に変化するディスプレイ装置.人工現実感に有用である.

 

 

[画像解析]

 

computer vision[画像]:コンピュータビジョン:画像(シーン)の中にある物体を計算機によって認識する技術.情景解析.

scene analysis[画像]:情景解析:コンピュータビジョンと同じ.

image recognition[画像]:画像認識:画像から抽出したエッジ・線などの特徴から対象物の同定や位置姿勢などを認識する処理.

image understanding[画像]:画像理解:画像の中の対象物の認識だけでなくそれらの間の関係を理解し対象世界を記述すること.画像認識より上のレベルの認識.

stereo[画像]:立体視:両眼視による3次元画像認識.移動して3次元画像を得る方法を移動ステレオという.

model-based vision system[画像]:モデルに基づく視覚システム:対象物の形状モデルをコンピュータの中に持ち,そのモデルを参照しながら視覚認識・情景解析などをするシステム.

feature-based vision system[画像]:特徴に基づく視覚システム:画像の特徴を標準データと比較して画像認識するシステム.

occlusion[画像]:オクルージョン:物体が他の物体に隠れて見えないこと.

・[画像]:パイプライン型

scene[画像]:シーン,情景:外界・環境の視覚的な状況.

structure from motion[画像]:移動画像構成法:視覚を移動させて複数の画像から情景を知る方法.

motion stereo[画像]:移動ステレオ:カメラを移動させて立体視する方法.

epipolar plane[画像]:エピポーラ面:2カメラのレンズ中心と外界の着目する1点の3点が作る平面.

epipolar line[画像]:エピポーラ線:エピポーラ面とカメラフィルム面との交線.対象の1点の像は2カメラとも同じエピポーラ線上にある.2カメラを水平に置けば1点の像は同じ高さに写る.水平方向の像の位置の差から対象の1点の奥行きがわかる.

Hough transformation[画像]:ハフ変換:画像から直線や円などの図形を抽出するための1方法.1点P1(u1, v1)を通る直線はv1=a1u1+b1であり,これは(a, b)平面ではb1=-u1a1+v1の直線となる.別の点P2(u2, v2)を通る直線についてはb2=-u2a2+v2となり,P1, P2の2点を通る直線は(a, b)平面での交点となるの(a, b)値を持つ.多数の点についてbi=-uiai+viを描き,それらの直線が集積する領域の尤もらしい点を直線の勾配と切片(a, b)とする.円弧の抽出には円の中心座標と半径(a, b, c)の3次元空間で同様の処理をする.

preprocessing[画像]:前処理:画像認識において,線画を求め特徴抽出がし易いように処理することで,雑音除去,平滑化,濃淡歪み・幾何歪みの修正,セグメンテーション,2値化などがある.

intensity[画像]:明るさ

gray level[画像]:濃淡(輝度)レベル:画像の明るさの程度.

density histogram[画像]:濃度(濃淡)ヒストグラム:画像の前処理の1つで,明るさについてのピクセル数の頻度分布.

binarization[画像]:2値化:画像の前処理の1つで,画像の濃淡をある敷居値を決めてそれ以上の明るさを1,以下を0とすること.

dynamic thresholding[画像]:動的2値化:敷居値を画像領域の濃淡に応じて変え,2値化すること.

salt-and-pepper noise[画像]:ゴマ塩雑音:濃淡画像を2値化したとき白の領域に黒い点がちりばめられる現象を示す雑音.

smoothing filter[画像]:平滑化フィルタ:画像の雑音を除去する空間フィルタで,近傍のピクセルの濃度の移動平均をとる方法.

edge preserving smoothing filter[画像]:エッジ保存フィルタ:画像の前処理の1つで,画像のエッジのぼけを押さえるフィルタ法.平滑化フィルタをかけるとふつうはエッジがぼける.

labelling[画像]:ラベリング:2値化した画像の黒白の塊を領域化し,ラベルをつけること.

geometric correction[画像]:幾何歪み補正:画像の前処理の1つで,レンズ系の画面の走査の非均一性などによって画面が歪む(geometric distortion)ことがあるので,この歪みを予め補正すること.

feature extraction[画像]:特徴抽出:画像認識の1過程で,前処理後に対象を他と区別して認識するのに役立つ特徴を抽出すること.特徴量には,線画としてエッジの位置・数,線の連結性,長さ,位相幾何学的特徴などがあり,その他画像の濃淡分布,空間周波数,各領域のモーメント,(周長)2/面積比など様々考えられる.特徴抽出は画像だけでなく,音声や文字などのパターン認識に利用される.

spatial filter[画像]:空間フィルタ:画像の前処理の1つで,画像濃淡を2次元フーリエ変換して空間周波数スペクトルを求める.そして低周波成分を強調してフーリエ逆変換すれば雑音除去となり,高周波成分を強調してフーリエ逆変換すればエッジを先鋭化することになる.その他,平均化フィルタ(averaging filter),微分フィルタ(differential filter),中央値フィルタ(median filter),エッジ保存フィルタ(edge preserving smoothing filter),論理フィルタ(logical filter),非線形フィルタ(nonlinear filter)などがある.空間周波スペクトルは画像の特徴の1つにもなり得る.

Laplacian[画像]:ラプラシアン:画像処理において領域のエッジを抽出する1方法.画像の濃度の空間的な2次微分()し,その0クロス点(線)をエッジとする.

region segmentation[画像]:領域分割:画像処理において,重なりのない同じ特徴を持つ領域に画像を分割すること.濃淡や色ベクトルの敷居値処理によって境界を決める.領域の類似性を調べる特徴として濃度ヒストグラム,色ベクトル分布,テクスチュア特徴などがある.分割後にラベリングする.

texture[画像]:テクスチャ:画像の一様な模様のこと.縞模様のような規則性テクスチュア(regular texture)

と芝生のようなランダムテクスチュア(random texture, probabilistic texture)がある.

texture analysis[画像]:テクスチャ解析:テクスチュアの計測,画面抽出,領域分割,特徴抽出などの一連の処理を言う.

shape analysis[画像]:形状解析:画像中から抽出した領域の境界線や領域の形を調べ,その形状特徴(shape feature)を求めること.形状特徴として,直線・曲線のあてはめ,端点・分岐点の有無,ループの有無,曲率,多角形性,空間周波数スペクトル,面積・重心,モーメントなどがある.

aspect ratio[画像]:アスペクト比,円形度:@図形のa=面積/(周長)2.図形が複雑なほど値が小さくなる.図形形状の特徴量の1つとして利用される.A深穴のa=直径/深さ.リソグラフィによる深穴加工の性能の指標として使われる.

moment[画像]:モーメント:図形(物体像)の2次モーメントのこと.すなわち,.一般的にn次モーメントと言う.

intensity skewness[画像]:(画像の)濃淡の3次モーメント:図形(物体像)の3次モーメントのこと.

central moment[画像]:図心まわりのモーメント:図形の図心まわりのモーメントは図形の図心からの拡がりを意味する.円は最も小さく,楕円が細長くなるにつれて大きくなる.図形形状の特徴量の1つとして利用される.

contour[画像]:輪郭

template matching[画像]:テンプレートマッチング:標準図形データ(template)を用意し,そのtemplateと照らし合わせること.複数データとの相関をとり,最も大きいものAをその図形とする.相関をとる前に原図形を正規化する(寸法・姿勢を標準にする)必要がある.

discriminant function[画像]:識別関数:パターン認識において対象を他との違いを数値で表す関数.例えば文字認識において,文字の特徴(縦横比,線の交わりの数など)を数値x=(x1,x2,..,xn)で表す.文字A(とそれに似た文字)ならばfA(x)が,B(とそれに似た文字)ならばfB(x)が他より著しく大きくなるような関数を決めれば,文字の識別ができる.この関数fA(x),  fB(x)を識別関数という.物体識別にも同様な手法が使われる.特徴量の1次関数を線形識別関数(linear discriminant function)と言い,特徴量による物体識別によく使われる.特徴量の1次関数でないものを非線形識別関数(nonlinear discriminant function)と言う.

pattern recognition[情報・画像]:パターン認識:パターンとは画像や音声波形などを考えればよいが,より一般的には対象が持っている複数の特徴的要素の単なる集まりでなく,それらの位置的・時間的・機能的関連を含んで共通的性質全体をパターンと定義している.パターン認識とは対象にそのパターンの存在を認めることを言うが,画像の場合は特徴が,用意した標準パターンのどれと適合するかを知ることである.

statistical pattern recognition[画像]:統計的パターン認識:図形の特徴を数値で表し,各特徴を軸とする多次元ベクトルで図形の性質を表す.標準図形のベクトルとの距離を定義し,統計的に似ているものを決定する方法を言う.

structural analysis[画像]:構造解析構造的パターン認識(structural pattern recognition)とも言う.複雑な図形の識別に使われる方法で,図形を部分に分け,各部分図形の特徴や他部分とのつながり方を調べて標準図形と比較する.その手法として,有限オートマトン(finite automaton),グラフマッチング(graph matching),句構造解析(syntactic analysis),弛緩法(relaxation method)DPマッチング法(DP matching)などいろいろある.

shading[画像]:シェーディング:3次元物体の面の濃度(明るさ)の変化.物体認識の有力な情報となる.

shadow[画像]:影:3次元物体の壁・床や他の後ろにある物体に写る影.同じく物体認識の有力な情報となる.その他模様の変化なども認識に役立つ.

reflectance map[画像]反射率マップ:3次元物体の面の傾きによってカメラから見る明るさが変わる.既知物体では2方向の傾き角を軸とする平面内で等明るさ線の地図を描くことができる.これを反射率マップと言う.実際に見た物体の明るさの変化をこのマップと照らし合わせて物体の姿勢を知ることができる.

photometric stereo[画像]:ホトメトリックステレオ:複数の光源を使って3次元物体の複数の反射率マップから物体の姿勢を知る方法.1つの光源より確かな計測を得ることができる.

vanishing point[画像]:消失点:3次元空間の2本の平行線は2次元画像では無限遠で1点で交わる.この点を消失点と言う.

vanishing line[画像]:消失線::3次元の2つの平行平面は2次元画像では1つの線で交わる.これを消失線と言う.

disparity, binocular parallax[画像]:(両眼)視差:両眼視によって見た1点の左右の像の位置の差.この視差から1点の奥行きがわかる.情景を両眼視するとき,左右の対応する点を見つけることが問題である.

time-varying image, sequence image[画像]:動画像:時間的に変化する一連の画像.各画像の対応する点を特定すればその点の速度・加速度などがわかる.1つの画面で各点の速度ベクトルを矢印で表したものをオプティカルフロー(optical flow)と言う.画面上の大きさのある物体上の数点の速度から物体の3次元速度角速度がわかる.

region growing[画像]:領域拡張:距離画像から平面を抽出する手法で,部分的に平面と思われる領域をとり,それと同一と見なされる周辺の領域に拡げて1つの平面を構成する.

 

[視覚制御]

 

hand-eye system[画像・制御]:ハンドアイシステム:視覚情報をフィードバックしてロボットを制御するシステム(JISB0134-5023)

visual feedback[画像・制御]:視覚フィードバック

visual servo[画像・制御]:ビジュアルサーボ:視覚情報をフィードバックして位置姿勢などを制御するサーボシステム.

passive navigation[画像・制御]:パシブナビゲーション:移動ロボットにおいて,視覚による外界情景の変化から移動量を知り移動制御をすること.

 

 

          [音声合成・認識]

 

[音声一般]般ぱn

acoustics[音]:音響学

phonetics[音]:音声学:人間の発声と音声聞き取りの生理学的・物理学的な研究分野.

intensity[音]:(音の)強さ:音の伝播方向に見て単位面積当たりのエネルギー.I0=10-16W/cm2)を基準としてI(W/cm2)の音の強さをIL=10log(I/I0)(dB)で表し,これを音の強さのレベル(intensity level)と言う.

sound pressure[音]:音圧:音の圧力で,P0=2×10-3(dyn/cm2)を基準としてP(dyn/cm2)の音圧をSPL=20log(P/P0)(dB)で表し,これを音圧レベル(sound pressure level)と言う.空気中ではI0P0に相当し,1000Hzでは0dBが人間の最小可聴レベルである.

Fourier analysis[音・情報]:フーリエ解析

sound spectrogram[音]:(音声の)スペクトログラム:横軸に時間を,縦軸に周波数にとり,各周波数の振幅を濃淡で表して,音声を目に見えるグラフで表現したもの.visible speechとも言う.

speech[音]:音声

phoneme[音]:音素:意味のある音声を基に考えた音の単位.例えばニホンバシの「ン」とニホンガの[ン]は音声学的には異なるが1つの音素とみなす.日本語は5つの母音音素と13の子音音素,2つの半母音,2つの特殊音素からなる.アメリカ英語には16個の母音と22個の子音がある.

vowel[音]:母音:持続する音声で,特徴的なフォルマントを持っている.

consonant[音]:子音:短時間の音声でスペクトルの瞬間的な変化が特徴的である.

phone[音]:単音:音素と同じ.

syllable[音]:音節:音素の組み合わせ.日本語では子音と母音(半母音)の組み合わせ.

word[音]:語:音節の繋がりで,意味のある言語学的単位.

formant[音]:フォルマント:母音の特色を示す音声のスペクトルの固まりで,母音の弁別には低い周波数から数えて第1から多くても第4フォルマントまでで十分である.人によって母音の基本周波数(fundamental frequency)は違うが,フォルマントは共通である.なお,子音に続く母音のフォルマントは時間的に変化する.

[音声認識]識しき

speech recognition[音]:音声認識:音声の言語学的な内容を機械的に抽出すること.単語音声認識と連続音声認識がある.音声認識システムは音響分析・音韻認識・単語認識・言語処理などから構成される.

sound analysis, acoustic analysis[音]:音響分析:音声を20-30ms毎に周波数分析または線形予測分析によって10数次元の特徴スペクトル系列(スペクトログラム)に変換すること.

phonemic recognition[音]:音韻認識:連続的な音声を母音・子音などの離散的な音素に分割認識すること.

word recognition[音]:単語認識:単語の音素のスペクトル時系列などの特徴を抽出し,標準データと照合してどの語かを識別する.

isolated word recognizer[音]:離散単語認識装置

connected word recognizer[音]:連続単語認識装置

conversation recognition, conversation understanding[音]:会話理解:連続音声の単語・文節を認識し,話の内容を理解すること.そのためには自然言語理解や話し言葉特有の文法など高度な知能が必要である.

speaker dependent, talker dependent word recognition[音]:特定話者対応の単語認識:特定の話者に限定した単語認識.話者の単語の標準パターンを1通り揃えればよく,多数の単語を確率高く識別できる.

speaker independent, talker independent word recognition[音]:不特定話者対応の単語認識:不特定の話者の単語認識.各単語についていくつかの標準パターンを揃えて照合識別するか,パターンを平均して確率的に識別する.

segmental features[音]:(音声の)文節的特徴:音声の各音素を特徴づけるパラメータ(フォルマントなど)の時系列.

prosodic features[音]:(音声の)韻律的特徴:音声の抑揚(intonation)・アクセント(accent)・リズム(rhythm)・テンポ(tempo)・持続時間(duration)など,音声の基本周波数・強さの時系列.音声を特徴づけるのは文節的特徴と韻律的特徴である.

analysis-by-synthesis[音]:合成による分析:音声の特徴パラメータ(フォルマントなど)を,そのパラメータから合成される音声と実際の音声とを比較し,よく似るようにパラメータを調整してそれを対象とする音声のパラメータとする方法.

spectrum contour, spectrum envelope[音]:スペクトル包絡:凹凸の激しいスペクトルの凸部分を滑らかに繋げたスペクトル.

fundamental frequency contour, F contour[音]:(音声の)基本周波数パターン:単語・句・文のまとまった音声は基本周波数が時間的に変化する韻律的特徴(抑揚)を示す.この時間的変化を基本周波数パターンと言う.

mora[音]:モーラ:音声の時間的に区分した音節の単位.日本語では原則として1文字1モーラである.

linear predictive analysis, linear predictive coding[音・情報]:線形予測分析法:単語音声の時系列を20-30ms毎に振幅をとり,ある瞬間の振幅x(n)は過去p個の振幅の重み付き線形和x(n)=a1x(n-1)+a2x(n-2)+・・・・+apx(n-p)で表せると仮定する.単語の違いはその重みaiの違いであり,実際の値x(n)と最も近い値を与える重みがその単語であるとみなす.これを線形予測分析法と言う.

time warping[音]:時間軸圧縮:音声の時間軸を伸縮すること.音声認識で,単語(文)と標準パターンの時間的長さを合わせるために行うが,一律でなく場所によって異なる伸縮が必要である.

dynamic time warping algorithm[音・情報]:時間正規化マッチング法,DPマッチング法:音声を時間的に区切って各区間の特徴量(n)a1, a2,・・・・, aI照合する音声についてb1, b2,・・・・, bJとする.次にaibjと適当な対応付けをしn次元距離d(i,j)の対応付け全ての重み付き和Dを求める.(i,j)対応付けを変えてDを求め最小のDが両者の距離(類似度)とする.この計算を動的計画法によって行うマッチング法を言う.単語認識に利用する.

hidden Markov model[音・情報]:隠れマルコフモデル:音声単語認識において時間的に区切った時系列の特徴を状態とし,前の状態から次の状態が生じる過程を確率オートマトンと考える.標準の各単語の隠れマルコフモデルを準備し,実音声単語の生成事後確率を最大にするモデルが最も似ているとみなす.

syntactically controlled DP matching[音・情報]:オートマトン制御DPマチング法:連続音声の文について,構文を考慮して時間的に区切った各特徴の状態遷移をDPマッチングする方法.

dynamic time warping algorithm[音・情報]:時間正規化マッチング法,DPマッチング法:音声を時間的に区切って各区間の特徴量(n)a1, a2,・・・・, aI照合する音声についてb1, b2,・・・・, bJとする.次にaibjと適当な対応付けをしn次元距離d(i,j)の対応付け全ての重み付き和Dを求める.(i,j)対応付けを変えてDを求め最小のDが両者の距離(類似度)とする.この計算を動的計画法によって行うマッチング法を言う.単語認識に利用する.

[音声合成]

speech synthesis[音]:音声合成

Gaussian noise[音・情報]:ガウス性雑音:振幅が正規分布するランダムな雑音.一般に正規分布する時系列データをガウス過程(Gaussian process),または正規過程(normal process)と言う.

white noise[音・情報]:白色雑音:スペクトルが一様な雑音.更に振幅が正規分布すればガウス白色雑音(Gaussian white noise)と言う.

moving average[音・情報]:移動平均:時系列データにおいて,ある値の前後いくつかのデータ(何秒かのデータ)を取って平均値を求め,これを逐次繰り返して新たな時系列を得る方法.これによって高周波成分が小さくなりなだらかな変化のデータとなる.

moving average model[音・情報]:移動平均モデル:ガウス白色雑音に対する定常応答を離散化してある時点の値を過去m個の線形和で表現したものをm次の移動平均モデルと言う.これは連続系で言えば畳み込み積分を有限時間で打ち切ったことを意味する.入力(白色雑音)と出力(定常時系列)わかっていて重み係数を求めたいとすると,これは伝達関数の多項式のB(s)を求めたことになる.

autoregressive model[音・情報]:自己回帰モデル:定常時系列の過去n個の線形和がその時点のガウス白色雑音の値となるように表現したものをn次の自己回帰モデルと言う.その重み係数を予測係数(prediction coefficient)と呼ぶ.入力(白色雑音)と出力(定常時系列)がわかっていて重み係数を求めたいとすると,これは観測から連続系で言えば観測地から定係数常微分方程式の定係数を求める問題を意味する.あるいは伝達関数で言えばH(s)=1/A(s)A(s)を求めたことになる.

autoregressive moving average model[音・情報]:自己回帰移動平均:離散化して白色雑音の過去m個の線形和が定常時系列の過去n個の和に等しいと表現したモデルを(n,m)の自己回帰移動平均モデルと言う.入力(白色雑音)と出力(定常時系列)がわかっていて両者の重み係数を求める問題は,連続系で言えば伝達関数H(s)=B(s)/A(s)を求めることを意味する.発声は白色雑音を口鼻の音響フィルタを通して様々なスペクトルを作ると考えられており,そのモデルとして音声合成に応用されている.

vocoder[音]:ボコーダ:音声信号を符号化しその符号化した情報から元の音声を復元する装置.元音声のスペクトル情報を符号化し音声合成によって復元すれば送信ビットが少なくて済む.スペクトルそのものを符号化するチャンネルボコーダ,フォルマントのみを符号化するフォルマントボコーダ,その他がある.

speech synthesizer[音]:音声合成装置:音声を作り出す装置.人間の単語や句を録音して繋ぎ合わせる録音編集型音声合成,人間の単音節や音韻連鎖スペクトル分析しそのスペクトルを合成する分析合成型音声合成(speech synthesis by analysis:フォルマント型,声道アナログ型,PARCOR型お),全く機械的な音韻的・音節的特徴を表す記号列を入力として合成する規則合成型音声合成(speech synthesis by rule)の方法がある.人間の音声から合成する方が自然に近い.

text-to-speech conversion[音]:テキスト音声合成:文字系列を入力とする音声合成.

speech synthesis from concept[音]:概念からの音声合成:知識表現を入力とする音声合成.

terminal analog[音]:ターミナルアナログ:音声合成において,白色雑音を音源とし,声道の伝達特性を模したフィルタを多数並べてその出力を音声とする方式.

vocal tract analog[音]:声道アナログ:音声合成において,白色雑音を入力とし声道を断面が不均一な音響管で模してその出力を音声とする方式.

articulation[音]:調音:口の中で唇や舌を動かして意味のある言語音を発声すること.音声は声帯の振動から声道(vocal tract)を変えることによってスペクトルを選択して発声している.この声道をシミュレートすれば人工音声が可能である.

coarticulation[音]:調音結合:連続する音声では音素と音素の間に調音が連続的に変わり,元の音素と異なる音になる.これを調音結合と言う.音声合成でこれがない音素だけの繋がりでは自然な音声と著しく異なる.

 

 

 

 

 

    [人工知能・情報・電算機]

 

artificial intelligence(AI)[情報]:人工知能:人間の脳の機能を解明し実現することを目的とする学問分野.情景・文字・音声などの認識,判断,推論,問題解決,行動計画,学習などが対象であり,ロボットが自律行動するために不可欠である.

knowledge representation[情報]:知識表現:知識を電算機上で実現するために必要なデータ構造やその利用手続きの記号的表現.知識表現形式としては意味ネットワーク(semantic network),プロダクションシステム(production system),フレーム表現(frame representation),述語論理表現(predicate logic)などがある.

geometric model[情報]:幾何モデル,形状モデル:形状を規定するモデル.このモデルによってコンピュータで物体を作図し,各種シミュレーションを行う.形状表現には線モデル,面モデル,立体モデルがある.

world model, environment model[情報]:実世界モデル:ロボット環境を電算機上に表現したモデル.ロボットがその環境で作業するシミュレーションを行うときに利用する.

findpath problem[情報・移動]:経路探索問題:ロボットアームや移動ロボットが障害物のある環境でどのように目標に到達するかその径路を探す問題.

Chinese postman problem[情報]:郵便配達問題:街路に並んだ家々の全てに郵便を配達するときに歩く距離を最小にする問題.

transportation problem[情報]:輸送問題:複数の供給点から複数の需要点へなるべく少ない費用で輸送する問題.ヒッチコック型(Hitchkock type)輸送問題とも言う.

learning[情報]:学習:経験により動作を改善すること.ある情報処理システムにおいて,入出力変換処理モデルを例を与えて未成熟な状態から改善して行く.その手法に教示学習,例からの学習,実験による学習などがある.

model of neural networks[情報]:神経回路網モデル:脳の並列学習情報処理機能を模して,ニューロンがシナプスを介して結合した回路網で,学習が行われるいろいろなモデルが考えられている.

self-organization[情報]:自己組織化:自分の構造を自分で作り上げること.神経回路網は自己組織化能力を持っている.

neuro-ethology[情報]:神経行動学:生物や人間の行動に伴う神経機構を明らかにする学問体系.

neuro-computer[情報]:ニューロコンピュータ:ニューロンと結合回路網を基本とした生体の動作メカニズムと同じように動作する計算機.人間の柔軟性を取り込める可能性が期待されている.

problem solving[情報]:問題解決:問題が明確に与えられ,解決手段も幾つか与えられているときに,探索によって手段を選択しながら解を得ること.碁や将棋のように道が多数あるとうまい方法を使わないと事実上解けないケースがある.

tree structure[情報]:木構造:データ構造の1種で,枝分かれする木の構造をしている.2つずつ枝分かれする木を2分木(binary tree),4つずつ分かれる木をクオドツリー(quad tree),8つずつ分かれる木をオクトツリー(oct tree, octree),ほか多進木(n-ary tree)がある.

planning[情報]:プラニング,計画:行動の順序を予め決めること.ロボットでは作業計画(task planning),運動計画(motion planning),軌道計画(trajectory planning)などがある.知能ロボットの持つべき能力で,作業環境の中で問題解決手法を用いて探索したり手順を合成したりする.

inference, reasoning[情報]:推論:論理的推論を(logical) inferenceと言い,日常的な形式化されていない推論をreasoningと言う.論理的推論には機能的・演繹的・類推的推論がある.

induction[情報]:帰納:多くの事実からそれらに共通する法則を導く推論法.鳩や雀が飛ぶ事実から「鳥は飛ぶ」という法則を見いだすのは帰納推論の1種である.

deduction[情報]:演繹:いくつかの観測事実(仮説)から新しい仮説を導く推論法.発明は演繹の1種といえる.

abduction[情報]:アブダクション,仮説生成:既知の法則があるが観測事実をそれだけでは説明できないとき,新しい仮説を立てて観測事実を説明する推論の1種.この仮説が既知の法則と矛盾しなければ正しいと見なされる.意味が分からない単語が文章に出てきたとき文章全体から単語の意味を推定するのはアブダクションの例である.

expert system[情報]:エキスパートシステム:プロダクションルール(if ・・・・, then ・・・・形式)を適用した高い問題解決能力を持つ計算機プログラム.事象の因果関係が分からないときに使うと便利で,熟練者のこのときにはどうするという経験を計算機に覚えさせると問題解決が可能となる.

parallel processing[情報]:並列処理:逐次処理に対立する用語で,多数の演算装置を用いて高速性を意図した処理方式.

pipeline processing[情報]:パイプライン処理:電算機における処理をn個に分けてn個の処理を並列に実行する方式.時間は1/nに高速化されるが,処理の変更や条件分岐があると処理が乱れるのでその対応策が必要である.

SIMD(single instruction multiple data stream)[情報]:SIMD,単一命令複数データ流:

MIMD(multiple instruction multiple data stream[情報]:MIMD,複数命令複数データ流:複数のプロセッサや記憶装置などが結合され,それぞれは制御装置を持たずに中央の命令によって一斉に処理する計算方式.定型的な処理の高速化ができる特徴を持つ.

SISD(single instruction single data stream)[情報]:SISD,単一命令単一データ流:

MISD(multiple instruction single data stream[情報]:MISD,複数命令単一データ流:制御装置を内蔵した複数のプロセッサや記憶装置などがネットワークで結合され協調して処理を行う計算機方式の1種

data driven system, data flow system[情報]:データ駆動システム,データフローシステム:ある演算をその実行に必要なデータが揃えば直ちに実行できる方式で,複数の並列処理ができる特徴を持つ.

event driven system[情報]:事象駆動システム:ある事象が起こるとそれがシステムの状態を変え,それが次の事象を発生させるという観点からシステムの挙動を捕らえる手法.この表現形式にプロダクションシステム,ペトリネットシステムがある.(cf. demand driven, island driven, control driven)

model driven analysis[情報・画像]:モデル駆動型解析:画像中にある認識対象の存在を仮定し,その対象モデルに基づいて画像から特徴抽出を行い,仮定が妥当であるかを確かめることによって認識を行う方法.

top-down analysis[情報]:下降型解析:モデル駆動型解析と同じ.

Kalman filter[情報]:カルマンフィルタ:非定常時間関数の信号に白色雑音が加わっているとき,信号をできるだけ正確に出力する最適フィルタのこと.

spline curve[情報]:スプライン曲線:通過点を指定してその点を通る多項式近似の曲線.実用的には2次微分まで連続となる関数をつなぎ合わせて曲線を作る.

object[情報]:オブジェクト:データとそれに関する手続き(機能)を合わせ持つモジュール

agent[情報]:エージェント:オブジェクトに知識を付け加えてある事象が発生すると起動し(イベント駆動),持っている知識ベースを使って自動的に適切な処理を行うモジュール.

object-oriented programming[情報]:オブジェクト指向プログラミング:,そのモジュールを単位として計算機プログラムを作ること.ソフトウエアが作りやすく保守しやすいと言われている.

natural language[情報]:自然言語:人間が話す言語.これに対してコンピュータ言語を人工言語と言う.

natural language understanding[情報]:(自然)言語理解:自然言語を人間が理解したと同様な結果を出す計算機モデルを作ること.テキスト理解や会話理解などが研究されている.音声の機械翻訳は形態素解析・構文解析・意味解析・文脈解析の順に解析する.

morphological analysis[音・情報]:形態素解析:音素からなる言語の最小単位を形態素(morpheme)と言い,形態素がつながって単語となる.音声による文を形態素に分解することを形態素解析という.

parsing, syntax analysis[情報]:構文解析:文章を文法規則に従って解析すること.

semantic analysis[情報]:意味解析:文の意味を明らかにすること.

contextual analysis[情報]:文脈解析:意味解析では一般的な意味を解析するが,文脈解析では個別的な周囲環境を考慮して文を理解する.

syntactic processing[情報]:統語処理:構文解析と同じ.

conversational processing[情報]:対話処理:コンピュータと人間が対話できる処理システム.人工言語による処理システムはCADなどで使われているが,自然言語によるシステムは自然言語理解能力が必要である.

interactive processing[情報]:会話処理:対話処理と同じ.

text understanding[情報]:テキスト理解:文章の意味を明らかにすること

conversational implicature[情報]:会話の含意:会話では省略された語があったり文字通りの意味とは限らなかったりなどがあり,環境や前後関係から真の意味を明らかにしなければならない.この言語外の意味を含意と言う.

cross correlation[情報]:相互相関:

window[情報]:ウィンドー:時系列データを区切ってスペクトル分析するとき,生のデータでなくウィンドー(重み関数)を掛けてスペクトル分析する.ウィンドーとしてHanning window, Hamming window, Akaike’s windowなどがあり,時間的に中央を1,周辺を0(に近い値)とする連続関数である.このウィンドーを掛けることは狭い帯域フィルタを通したスペクトルを求めることを意味している.一様なウィンドー(ウィンドーを掛けないこと)をdo-nothing windowと言い,この狭帯域フィルタはその中央周波数の振幅に対して近辺の周波数の振幅(の何割か)を引き算することになり,好ましくない.時間領域ではラグウィンドー(lag window)と呼び,周波数領域ではスペクトルウィンドー(spectral window)と呼ぶ.

Fourier series expansion[情報]:フーリエ級数展開:周期関数を三角関数による級数に展開すること.すなわちx(t)=a0+Σckcos(kωt-φk)と表せる横軸にkを,縦軸にckをとると線スペクトルとなる.

Fourier transform[情報]:フーリエ変換:非周期時間関数についての演算をフーリエ変換という.物理的には,のスペクトルを意味し,フーリエ変換とはスペクトル解析のことである.ただしの単位は[の単位/(rad/s)](スペクトル密度)であることに注意.フーリエ逆変換の振幅の正弦波を全て加え合わせれば元の時間関数が得られることを意味する.

discrete Fourier transform[情報]:離散的フーリエ変換:フーリエ変換は無限時間を仮定しているが現実には有限時間Tで打ち切る.この変換を離散的フーリエ変換と言う.スペクトルはω0=2π/Tの整数倍の線スペクトルとなる.数学的にはフーリエ級数展開と同じである.

spectrum[情報]:スペクトル:時間関数x(t)に含まれる三角関数の周波数ωとその振幅X(jω)(絶対値と位相)の関係を横・縦軸に表したもの.

cepstrum[情報]:ケプストラム:パワースペクトルの対数をFourier逆変換したもの.音声のパワースペクトルをS(jω)とするケプストラムはK(p)=log[S(jω)]exp(jωp)dωである.パワースペクトルS(jω)の概形が細かく波打っているとき対数をとることによって均され,K(p)Fourier逆変換をとれば元のスペクトルが滑らかに再現されたことになる.

cepstrum coefficients[情報]:線形予測ケプストラム係数

distance scale[情報]:距離尺度:文字や音声などのパターンの特徴量(n個)をn次元空間の1点Pで表す.標準のパターンQとの違いを距離とする.距離が近いほどその標準パターンに似ていると解釈する.距離にはユークリッド距離(Euclidean distance各座標値の差の2乗和の平方根),4近傍距離(4-neibour distance各座標値の差の絶対値の和)などがある.音声の特徴量としてスペクトル・スペクトルの対数・ケプストラム・重み付き対す尤度比などをとる.

dynamic time warping algorithm[音・情報]:時間正規化マッチング法,DPマッチング法:音声を時間的に区切って各区間の特徴量(n)a1, a2,・・・・, aI照合する音声についてb1, b2,・・・・, bJとする.次にaibjと適当な対応付けをしn次元距離d(i,j)の対応付け全ての重み付き和Dを求める.(i,j)対応付けを変えてDを求め最小のDが両者の距離(類似度)とする.この計算を動的計画法によって行うマッチング法を言う.単語認識に利用する.

Markov process[情報]:マルコフ過程:確率的な時系列において,ある時刻の状態の確率が1つ前の状態によって決まりそれ以前の状態によらない過程をマルコフ過程と言う.この状態確率を遷移確率(transition probability)と言い,この時系列をマルコフ連鎖(Markov chain)と言う.

automaton[情報]:オートマトン:入力と内部状態に応じて結果を出力するシステム.

probabilistic automaton[情報]:確率オートマトン:条件付き確率で結果を出力するシステム.

hidden Markov model[音・情報]:隠れマルコフモデル:音声単語認識において時間的に区切った時系列の特徴を状態とし,前の状態から次の状態が生じる過程を確率オートマトンと考える.標準の各単語の隠れマルコフモデルを準備し,実音声単語の生成事後確率を最大にするモデルが最も似ているとみなす.

syntactically controlled DP matching[音・情報]:オートマトン制御DPマチング法:連続音声の文について,構文を考慮して時間的に区切った各特徴の状態遷移をDPマッチングする方法.

Fuzzy inference[情報]:ファジー推論:定性的な言葉を定量的に表現したメンバーシップ関数(類似度)を定義し,その演算によって推論する方法.例えば[−6,6]の数に対して「大きな負」表現では−6→1へ,−3→0へ直線的に変換し,「小さな負」では−5→0,−2→1,1→0へ三角形状に変換するメンバーシップ関数を定義する.ある事象について複数の性質のメンバーシップ関数を組み合わせて「この事象は・・・・であるらしい」と結論する.

cybernetics[情報]:サイバネティクス:情報通信と制御の方法論に関する学問体系.サイバネティックスから広く情報科学,システム科学として発展している.

cybernetic interface[情報]:サイバネティックインターフェイス:人間の感覚運動特性を考慮して構築されたロボット(機械)とのインターフェイスのこと.

finite element method[情報]:有限要素法:複雑な構造物の電算機による力学的解析の手法の1つ.構造物を小さな要素に分けてその要素の力(モーメント)の釣り合いと要素間の関連を大きな次元の釣り合い式とし,その多次元式を解く.パソコン向きのパッケージがある.

boundary element method[情報]:境界領域法:複雑な構造物の電算機による力学解析の手法の1つ.構造物の表面を小さなシェル要素に(2次元では小さな線要素に)分けて,要素毎に成り立つ弾性論による式を作りその他次元の式を解く.応力集中,2物体の弾性接触解析などに向いている.

resource[情報]:リソース,資源:電算機においてまとまった作業を支障なく完了するために確保しておくハードウエア,ソフトウエアのこと.装置やプログラム,データなどが含まれる.

kernel[情報]:カーネル,核:電算機のOSの基本部分を指し,制御と資源管理を行う.

active[情報]:アクティブ:電算機において,現在使用中,使用可能であること.アクティブの反対はスリープ(sleep)

real time OS[情報]:リアルタイムOS:実時間処理用のOS.普段使っているWindowsと異なり人の使い易さよりも実行の速さを重視したもの.

concurrent processing[情報]:並列処理(=parallel processing)

DSP[情報]:DSP:1チップマイクロプロセッサで,積和演算を高速処理する回路を持っている.用途には音声処理・画像処理・モデム通信などがある.

multiplexing[情報]:(通信の)多重化:1本の線(電送媒体)を用いて多数の信号を同時に伝達すること.周波数分割多重(frequency multiplex)と時分割多重(time division multiplex)がある.

primitive[画像・情報]:プリミティブ:分解してこれ以上分けられない(分けても意味がない)要素のこと.画像では画像プリミティブの合成により画像が作られていると解釈する.例えば移動ロボットの環境表現に柱・ドア・壁などをプリミティブとすれば便利である.いろいろな分野で要素の意味で使われる.(意味プリミティブ,スキルプリミティブなど)

autonomous distributed(decentralized) system[情報]:自律分散システム:ロボット群があり,その群全体を管理する機構を持たず,個々が自律性を持って行動し協調して結果として群の作業を遂行するシステム.階層システムより高速性・拡張性・信頼性の点で優れているが,通信の複雑さ・全体としての一貫性に難があると言われる.

distributed cooperative system[情報]:分散協調システム:自律分散システムと同じ.

swarm intelligence[情報]:群知能:分散協調ロボット群が個々でなく群として持っている知能.

 

 

 

 

         [ロボットシステム]

 

initialization[応用]:原点合わせ:ロボットを始動する前に各関節変位を原点に相当する位置に持っていくこと.これがこのロボットの初期ポーズとなる.

teaching:[応用]:教示:ロボットの動作を指示すること.

direct teach[応用]:直接教示:ロボットアームを手にとって直接動かして動作を教えること.関節駆動モータをフリーにして軽く動ける状態になれば直接教示も容易であるが,高減速比の減速機などがあって動かしにくいと直接教示は無理な力が掛かるので勧められない.

remote teach[応用]:遠隔教示:ロボットの教示装置(ティーチングボックス・ジョイスティック)などによって位置姿勢を指示すること.ロボット手先の軌道の数点と移動時間を与えると軌道を計算するものもある.

teaching playback[応用]:教示再生方式:人間が教示しその情報に従って動作するロボットの利用方式.

joystick[応用]:ジョイスティック:操縦桿を前後左右に,またひねりなどの運動をさせてロボットに動作を教える装置.あるいは直接ロボットを操縦するときにも使われる.

indirect teach[応用]:間接教示:ダミーのロボットについて動作を教示すること.ダミーによって動作を確認し,その教示データを実ロボットに利用する.

off-line teach[応用]:オフライン教示:電算機の中でシミュレーションしながら動作を生成すること.そのデータを実ロボットに利用する.オフライン教示は実ロボットの設置位置誤差やロボットのパラメータ誤差などのために精密な位置を教示できない.しかしレベルの高いシミュレータでは衝突回避などの複雑な作業の動作生成が可能であり,操作者の手間を省く長所がある.

offline programming[応用]:オフラインプログラミング:オフラインティーチングと同じ.

task planning[応用]:作業計画:一連の動作の繋がりからなるロボット作業の動作データを生成すること.衝突回避やピン挿入作業のような単純な作業からワークの箱詰め作業のような動作順序も考えなければならない高度な作業まで様々なレベルの作業計画がある.またこの自動生成のためにロボット言語がある.

behavior planning[応用]:行動計画:作業計画と同じ.

robot language[応用]:ロボット言語:ロボットを動かす指令値を作成(プログラミング)するとき,人間にとってわかりやすい形式で作るための形式言語(JISB0134-6015)

task level[応用]:作業レベル:ロボットの作業計画において,作業を対象とするレベル(JISB0134-6019)

object level[応用]:対象物レベル:ロボットの作業計画においてロボットが対象物(ワーク)を掴んだり運んだりの取り扱いレベル(JISB0134-6018)

effector level[応用]:エフェクタレベル:ロボットの作業計画においてエンドエフェクタの動作や空間上の移動などのレベル.

motion level[応用]:動作レベル:ロボットの作業計画において,ロボットの単位動作のレベル(JISB0134-6017)

skill[応用]:スキル:ある作業について,それを実行するのに必要な基本動作.スキルの組み合わせで作業が成り立っている.

interpolation[応用]:補間:とびとびの点列が与えられているとき,点の間を曲線でつなぐこと.直線補間・円弧補間・スプライン補間などがある.時間的な点列のときは多項式補間がある.

simulation[応用・情報]:シミュレーション:電算機にモデルを作って動作などを模擬すること.ロボットのシミュレーションシステムにはロボットの運動のみのシミュレーション,ロボットの環境を考慮したシミュレーション,ワークショップの多数ロボットの利用シミュレーションなどがある.作業計画,性能確認,衝突チェック,あるいはロボットの設計支援の目的に利用される.

unilateral master-slave manipulator[応用]:ユニラテラルマスタスレーブマニピュレータ:マスタからスレーブへ一方的に指令信号(例えば位置指令)を送って,逆の情報の流れのない制御タイプのマスタスレーブマニピュレータ.スレーブ側は指令値に従って位置フィードバック制御を行う.

bilateral master-slave manipulator[応用]:バイラテラルマスタスレーブマニピュレータ:マスタとスレーブ間に双方に信号をやりとりしながら制御するタイプのマニピュレータ.対称形(マスタは位置指令をスレーブに与え,マスタとの位置誤差を力として操作者に伝える),力逆送形(スレーブにかかる力を測定してマスタ側に知らせる),力帰還形(マスタの位置・力を指令値としてスレーブ側が位置・力のフィードバック制御をする),並列型(マスタとスレーブの力情報からマスタ・スレーブの両方の速度制御する)タイプがある.

master-slave manipulator with different configuration[応用]:異構造マスタスレーブマニピュレータ:マスタとスレーブの構造が異なるマニピュレータ.マスタの運動とスレーブの運動が異なるので動作信号の変換が必要である.

configuration differing master-slave manipulator[応用]:異構造マスタスレーブマニピュレータ

advanced teleoperator[応用]:知的遠隔操作:ロボットの遠隔操作において,動作レベルでなく作業やミッションを指令してロボットが自律的に動作を計画し実行するシステム.

telerobot, teleoperating robot[応用]:テレロボット:遠隔操作ロボット.

・[応用]:据置型ロボット

clean room robot[応用]:クリーンルームロボット

direct drive robot[メカ・応用]:DDロボット,ダイレクトドライブロボット:減速機なしにモータが直接アームを駆動するタイプのロボット.減速機に起因する摩擦が小さく力制御が可能である.その反面ロボットの非線形な動的力モーメントがモータに直接加わるのでふつうの線形制御則が成り立たない.また強力なモータが必要である.

flexible robot[応用]:フレキシブルロボット:使い勝手がよい,融通がきくロボット.

suction cup[メカ・応用]:吸盤:真空吸着するもので,壁面移動ロボットに利用される.

sensor feedback robot[一般・制御]:センサフィードバックロボット:感覚制御ロボットと同じ.

wall-climbing robot[応用]:壁面移動ロボット

welding robot[応用]:溶接ロボット

painting robot[応用]:塗装ロボット

assembly robot[応用]:組立ロボット

inspection robot[応用]:検査ロボット

measurement robot[応用]:測定ロボット

vacuum chamber robot[応用]:真空環境ロボット

transfer robot[応用]:搬送ロボット

unmanned transfer vehicle[応用]:無人搬送車

unmanned carriage[応用]:無人台車

stair-climbing robot[応用]:階段昇降ロボット

agricultural robot[応用]:農業ロボット

field robot[応用]:圃場ロボット

nursery robot[応用]:種苗生産ロボット

forestry robot[応用]:林業ロボット

pruning robot[応用]:枝打ちロボット

prosthesis[応用]:義手,義足

active prosthesis[応用]:動力義手,動力義足

nurse robot, nursing robot, nursing care robot, patient care robot[応用]:看護ロボット

robot for disabled[応用]:介助ロボット

welfare robot[応用]:福祉ロボット

medical robot応用]:医用ロボット

service robot[応用]:サービスロボット

construction robot[応用]:建設ロボット

amusement robot[応用]:アミューズメントロボット

hobby robot[応用]ホビーロボット

micromouse[応用]:マイクロマウス

robot for hazardous environment[応用]:極限作業ロボット:危険な環境で作業するためのロボット.日本で大型プロジェクトとして原子力発電所における保全作業ロボット,海中作業ロボット,災害救助ロボットの開発例がある.実用には到らなかったが,多くの優れた要素技術が生まれた.

nuclear robot, robot for nuclear power plant[応用]:原子力ロボット

power manipulator[応用]:パワーマニピュレータ:大きなパワーを出して重量物を扱うマニピュレータ.

mechanical manipulator[応用]:機械式マニピュレータ:遠隔操作用のマニピュレータで,マスタとスレーブがワイヤなどでつながっていて直接操作者が動かすタイプ.

space robot[応用]:宇宙ロボット:宇宙で作業するロボットは足場も浮動であり,非ホロノーム系である.すなわちロボットアームの関節変位と手先の位置姿勢の関係は速度の関係式として表される.(宇宙船がロボット+対象物体より遙かに大きいときはホロノーム系と考えてよい)

subsea robot, offshore robot, underwater robot[応用]:海洋ロボット

disaster preventive robot, robot for disaster prevention[応用]:防災ロボット

security robot[応用]:保安ロボット,警備ロボット

military robot[応用]:軍事ロボット

robot for high voltage line operation[応用]:高圧線工事ロボット

scavenger robot, cleaning robot[応用]:清掃ロボット

rescue robot[応用]:(災害)救助ロボット

performance robot[応用]:パーフォーマンスロボット:人間の身振り手振りを真似するロボット.

cybernetic machine[応用]:サイバネティックマシン:生物的な形状を持つ機械.

Fuzzy robot[応用]:ファジーロボット:ファジー推論によって制御されるロボット.